大事な後輩だから ページ6
どっ、どうしてアイツがここに！？
だってこの店は
アイツの家でたまたま目を通した雑誌に載ってて
・・・ハッ！
まさかあの雑誌
アイツが仕組んだものだった？(仰る通りです)
道理で、わざとらしくリビングの机の上に
掲載ページを広げて置いてあったわけだ
今になって思えば
いつもキレーイに整頓されたアイツの家にしては
珍しい光景だった
・・・やられた
これじゃあ
ゆっくりご飯どころじゃない
「はぁ...」
落胆した様子が遠目で見てもわかったのか
貸切状態のレストランの一角
私と目が合ったアイツが
ニヤリと微かに口角を上げた
...ムッ
なにあの笑い方
なんかちょっとムカつくんですけど
勝ち誇ったような笑顔を浮かべるアイツに
悔しさが滲む
「ねぇ」
「はい...」
「竹内さんの彼氏って、あのモデルだよね？」
斉藤さんが、カメラマンらしき人物と
談笑しているアイツを目で追った
「えっ、どうして...」
それを？
「...あ！以前一度会ってますもんね」
「そうだよ？」
従業員通用口で二人は顔を合わせていた
「君のその様子だと
大方彼氏に嵌められた...ってところ？」
うっ...
全くもってその通りで返す言葉もない
「しかし、彼すごい人気なんだね」
斉藤さんが周りでキャアキャア言ってる女性達を
若干呆れ気味に一瞥した
「ア、アイツの事は見なかった事にして食事を楽しみましょう！」
「なんで？」
は？なんで？
思わぬ返事に一瞬目が丸くなった
「なんでって...久しぶりに会ったし、斉藤さんにはお世話になったから楽しんで欲しいなぁって」
「だったら尚更だね」
へ？尚更？
「クスッ、変な顔(笑)」
変な顔って失礼な！
斉藤さんのせいでしょ！斉藤さんの！
「彼には...」
斉藤さんがチラッとアイツを見た
「色々邪魔されたよね、大事な研修中に」
邪魔って...まぁ、確かに
ケータイが鳴りっぱなしだったドライブデートに
南川さんとのアレコレ
ホント斉藤さんにも
たくさん迷惑かけたよね...(しんみり)
「竹内さんは俺にとっては大事な後輩」
「え...」
真剣な顔でそう言った斉藤さんの言葉に
ちょっとだけドキッとした
・・・のも束の間
「だから後輩を泣かせた彼には
ちょっとだけ痛い目見て貰わないとね(笑)」
目の前で不自然なほどニッコリ笑った斉藤さんに
一瞬でイヤな汗が背中を伝った
痛い目って、一体・・・
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
