やっぱり言えない ページ42
「はぁ...」
ため息をつきながら帰る家までの道
止まらないため息の理由
それは、明らかにアイツが傷付くと
わかっているのに
どうしても「好き」と言ってあげられない
自分の心の狭さに気付いてしまったから
昨夜の電話だって...
「はぁ...」
一人ぼっちだったアイツに
友達ができて嬉しいはずなのに
醜い嫉妬が顔を出して
素直に喜んであげる事ができない
「Aさん...大好き」
アイツが私を好きなのは
十分すぎるくらいわかっている
それなのに...
「はぁ...」
止まらないため息をまたひとつ零したところで
薄暗い路地の先に
ボンヤリ浮かぶ人影があるのに気付いた
そう言えば高校の頃、アイツがああやって
私の事待ち伏せしてた事があったな
アレは確か
城ヶ崎先生と付き合いだしたアイツと
距離を置こうとした時だったっけ
あの頃はここまで嫉妬深い女じゃなかったのに
「はぁ...」
「Aさん...」
ついに幻聴まで
「はぁ...」
「Aさん！」
え...？
「どうして無視するんですかっ！」
幻聴じゃ・・・なかった
声のする方を振り返ると
私を待ち伏せしていたのか
あの日と同じように
壁を背にして佇むアイツの顔が見えた
「チャンミン...」
久しぶりに見るアイツの顔
泣きそうになってるし...
「話をしようと思って待ってた...」
「チャンミン...」
「お願いだから...
僕を無視しないで下さい」
今にも消え入りそうな声
「無視なんてしてないよ...？」
・・・ヤバイ、涙出そう
「嘘だ！Aさんはもう僕の事なんてキライになったんでしょ？」
え...？
「そんな事ない」
チャンミンが大好き
「じゃあどうして僕に
「好き」って言ってくれないんですか？」
「それは...」
「それは？」
「それは...」
やっぱり、言えない...
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
