【鬼滅の刃】悪女(？)は夢主’Sセコム

弐拾弐の戸惑い ページ29

息が、しやすい。

どこも、苦しくない。

何だか、楽だ。

初めてだ。

何で

何で

生きていて良いって思えるんだろう。

息がしやすいことが嬉しいんだろう。

こんなにも世界が綺麗に見えるんだろう。

ひとつ、分かったこと

其れは

「彩愛、ありがとう」

彩愛のお陰で私は、息がしやすくなったということ。

此れだけは、分かる。

ずっと私の体に巣食っていた何かが朽ちて行く。

パラパラと音をたてて

春のような暖かさに包まれて

私の胸の中には兄さんが私にくれた名のようにひたむきに、それでいて懸命に咲き誇る椿の花が咲いていた。

「ありがとう、ありがとう...」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

涙が溢れて止まらない。

嬉しい。

苦しくない。

暖かい。

気のせいかもしれないけど

気のせいなのだろうけど

都合の良い幻覚だけれども

「A、幸せになれよ。

大好きだ。」

あの日のように優しく微笑んでいる香蓮が見えるんだ。

ありがとう香蓮。

私も

私も

香蓮が大好きだよ。

大好きだって言ってくれてありがとう。

私が香蓮の代わりに死ねば良かっただなんてもう思わない。

香蓮の分まで

私の居場所、鬼殺隊で

精一杯生きるよ。

見ててね香蓮。

もし

もし来世というものがあるならば

また双子の兄妹になってほしい。

普通の家に生まれて普通の暮らしをして２人で笑って毎日を過ごしたいな。









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