【鬼滅の刃】悪女(？)は夢主’Sセコム

過去ノ御話 ページ22

母親が２人のもとを去ったあと

「A、ごめんね。

護れなくて、ごめんね。

俺が、もっと強かったら良いのに...」

「・・・わたしこそ、うまれてきてごめんね。」

虚ろな瞳で、諭すように少女は言う。

「A...」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

「・・・」

香蓮の涙を止める術を見つけられないまま夜は明けた。

そして数ヵ月後

白く冷たい雪が舞う頃

「ぅ、うぅ...」

「香蓮、香蓮、しっかりして！！」

香蓮は、重い病に侵された。

「ｯ...

何でアンタが病にかからなかったのよ！！

何で、何で香蓮が！！

この屑め！！」

「母上、辞め、てくだ、さい...

Aが、何をしたのですか...？

ｯ！！！！」

「香蓮！！」

「・・・」

彼女は動かなかった

否

動け、なかった

日々の暴力で体を思うように動かせなかったから

どうすればいいか分からなかったから

知らず知らずのうちに自分が香蓮に触れることで香蓮を穢してしまうのではないかという狂った伝説に囚われていたから。

下がることの無い高熱。

止むことの無い吐き気と倦怠感。

妹を護れない自分の弱さに対する長年の苦しみ

まだ幼い彼にとってこれらの三つは、重すぎた。

高熱も

苦しみも

力も

香蓮の体は一週間ともたなかった。

・・・

鬼灯香蓮死亡

死因

原因不明の病

香蓮の死は、地獄を凌駕するほどの苦しみを彼女にもたらした。





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