【鬼滅の刃】悪女(？)は夢主’Sセコム

拾の戸惑い ページ11

其れは、数分前のこと

Aと彩愛は和やかな雰囲気で甘味を楽しんでいた。

けれど

「あっれぇ〜何で“忌み子”がこんなところにいるのかな？」

彩愛は恐る恐る声が聞こえた方向へと視線を向ける。

其の顔は真っ青だ。

そしてAは“忌み子”という言葉にピクリと肩を震わせる。

「ま、末雪(まつゆき)様...」ｶﾞｸｶﾞｸ

彩愛の顔からは色が抜け落ちており死人のような顔色をしていた。

「名前を呼ぶな気味が悪い。

何故お前みたいな“忌み子”が此処にいるかって聞いてるんだよ。

空気が穢れる。

さっさと姿を消せ。

俺としては永遠に消してくれてたら嬉しいなぁ...！！！」

・・・彩愛は、所謂“忌み子”だった。

炎のような紅い髪を持ち

村に誰１人としていなかった翠の瞳を彼女は持っていた。

人間は弱く、狡い。

彩愛の生まれた年に天災が多かったことを全て“忌み子”である彩愛のせいにしたのだ。

何の罪も犯していない幼子を日々痛め付け人間以下家畜以下の扱いを続けてきた。

其ればかりか

「お前がいたから鬼が村にやって来て大勢の村人が殺されたんだよなぁ？

お前がいたからだよなぁ？

お前がしぶとく生きていちゃったからだよなぁ！！！！」

村人が鬼に殺されたことをも彩愛のせいにしたのだ。

今にも鬼に喰われそうになっていた彩愛を救ったのは他でもないAだった。

彼女はその日、太陽を見たのだ。

全てを照らし恵みの光をもたらす彼女(太陽)を。

もう一度彼女に会いたくて

嫌いだった己の髪を美しいとAが言ってくれたから今日の今日まで髪を伸ばし続けてきた。

血を吐くような努力を日夜続けAと再開し恐怖(トラウマ)は消え去ったかのように見えたが

「ごめん、なさ、い...」ｶﾞｸｶﾞｸ

恐怖は、心の奥底にこびりついていた。

彩愛が生まれた村の青年が再び言の葉の刃を紡ごうとした。

何故過去形なのか。

其れは

【チャキリ】

「・・・なぁ、もう一回言えよ。」

彼の喉元に刀を突きつけたAが静かに燃ゆる蒼い炎の如く怒り狂っていたからだ。









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