兄の騎士と結婚します【瀬名泉】 (ページ35)

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Part３２ページ35

「、、俺はAの騎士になりたかったんだよねぇ。ずっと側にいて、許されない恋も、案外Aとなら楽しいかもなんて思ったりして、、でもそれはもう我儘。だから最後だけでも俺はAを守る。その後は、、Aは何処かの王子様と結婚してもらわないと」

楽しかった

出会った泉で何処かのお姫様に名前を呼ばれて
凄くびっくりしたけど、後で水の方の泉だった事知って、ちょっと残念に思ったことも

「帰らない」とごねるのを頑張って宥めて、また会えるのを楽しみにしてたことも

同い年と分かってお互い少し驚いたのも

〝街案内〟という名のデートも

「ゆうくん」

「何ですか、、？」

「楽しかったよ、ってAに伝えてくれる？」

「、、なんでそんな遺言みたいなことっ」

どうやらゆうくんたちには生贄の話はされていないらしい

「生贄は牢獄にいる罪人、、と凛月くんから伝えられたんですけど、、」

理由はなんとなく分かった

「、、うん、そうだよ。言い方が悪かったかなぁ？楽しかったよ、これからもよろしく、、でお願いできる？」

「、、うん」

パタンとドアが閉まる音

開けっ放しの窓から風が入り、忙しなく動き続けるカーテンが目に入る

[わっ！衣更くん？どうしたの？]

[ちょっと、、瀬名先輩に用があって]

[、、今はちょっとダメかもしれないよ？]

[今じゃないとダメなんだ！]

会話が終わってすぐにバンっとドアが開け放たれる

「瀬名先輩、、少しお話いいですか？」

「、、手短にねぇ？」

話の内容なんて分かってる

「俺が、生贄になります」

さぁ、どうしようか