第81話 カクの懸念 ページ39
カリファさん曰くルッチが持ってきたというフルーツ。その中からリンゴをとり、果物ナイフで皮をむく。
カリファさんはこういうことに慣れていないらしく、私がクルクルと皮をむくのを目を輝かせて見ていた。
「…すごいわ!A!」
そんなカリファさんがなんだか新鮮で可愛いなと思った。
むいたリンゴを2人で食べていると、病室のドアがノックされる。
カリファさんが返事をするとドアが開いて、カクが入ってきた。
「おぉA。調子はどうじゃ?」
そんなカクは手にフルーツバスケットを持っていて、私たちがリンゴを食べているのを見ると、やってしもーたわいと笑った。
ーーー
「それにしてもルッチがのう…。」
「ええ、とっても面白いものを見たわ。」
あの時のルッチはね、そうカリファさんが話し出す。
どうやらルッチはカリファさんがいると思っていなかったらしく、ドアを開けて少しの間固まったと思ったら、黙って手土産をカリファさんに渡し、早々と部屋を出ていったらしい。
ーーあんなに不器用な男ではなかったはずだけれど…と、カリファさんは私を見て笑った。
私はなんの事やらと首を傾げたが、カクは何か知っているらしく、
「…やはりか。厄介なことになりそうじゃ。」
そう言って、項垂れていた。私がさらに首を傾げて様子を伺う。
すると、ばっと顔を上げたカクは私にグイッと近づき
「いいか、A。何かあったらすぐ報告せい。報連相!!分かったな。」
ハッキリとそう言うと、
バスケットのバナナを取ってかじった。
ーーな、なんなの…。
何を懸念しているのかさっぱりだが、とりあえず返事をしようと、スケッチブックにサラサラと字を書く。
【何を心配しているの。私はこの部屋からは出ないから安心して。】
それを見せると、カクだけでなく、カリファさんも冷ややかな目でこちらを見ていた。
私の返答に問題があったようだ。
すぐにスケッチブックを下げる。
「…その件については私たちがとやかく言える筋合いじゃないわ…。心配だろうけど。」
カリファさんはカクを見て言った。
カクはふんっと腕を組んでそっぽを向く。
この後カクは街の大工たちと、街の修繕のボランティアに参加するらしく、忙しそうに病室を出ていった。
カリファさんはまた本を読み始めた。
やることが無い…。また振り出しに戻ったようだ。
私は病室の天井を見つめていたが、いつの間にかまた眠りについた。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます!コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります! (2019年10月12日 17時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…!毎回キュンキュンさせてもらってます!更新頑張ってください! (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます!続けてみてくださっていてとても嬉しいです!頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください!!! (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アタル | 作成日時:2019年10月7日 0時