第80話 スケッチブック ページ38
結局私の声は出ないまま。一日安静と言われ、病院の部屋で横になっていた。
横ではカリファさんが本を読んでいる。
いっけん看病のようだが、私が何もしないように監視も兼ねているのだろう。
『…はぁ。』
私が諦めたようにため息を着くと、カリファさんは私の方を見て本を畳んだ。
｢仕方ないわよ。あなたは最近頑張りすぎたの。少しは休みましょう？私もあなたのおかげで今日やる事がなくなったし、とことん付き合うわ。｣
ふふっと笑ったカリファさんに悪意はないのだろうが、ずっと監視してくれるというのだろうか。
ーー恐ろしい…しかしカリファさんに監視されるなんて…なんて美味しいシチュエ…っておっさんか！私は！
私の様子を見てカリファさんは微笑む。
｢あなたのおかげで難しいと思っていたアイスバーグと接点を持つのも上手くいったわ。ありがとう。｣
カリファさんは昨日アイスバーグさんに会ったらしい。あの名刺に書いてあった時刻にあの店に居合わせ、話をしたそうだ。
｢それにしても、隙のない彼が簡単に話をしてくれたわ。あなた、アイスバーグに何をしたの？｣
『…。』
特に思い当たることもないが、あの日のことをカリファさんが買ってくれたスケッチブックに書き込む。
【これといったことはないですが、彼が秘書を探しているというので、近々いい人が現れますと、予言ぽいことを…。】
そう書くとカリファさんはあなたらしいわねと笑った。
｢それにしてもあなたの声、何とかしないとね…。不便だわ。｣
まったくだ。急に声が出なくなるなんて初めてでどうしたらいいか分からなかった。
医者は、ショックによる失声だと言った。もしくは溜まったストレスが爆発したのだと。
確かに心当たりは色々あるが、そんなにも自分にストレスが溜まっているとは思わなかった。
カリファさん達はそんな医者の話を聞き入れ、安静安静と私を病室から出そうとしない。
私に動き回られては何が起こるかわからないというのが伝わってきたので、私も黙って従った。えぇ、黙ってね。
私はベッドに体をうずめた。暇だ。
病室を見渡すとフルーツがカゴに山盛りに置いてあった。
ーーカクが持ってきたのかな。
私の視線を追いカリファさんは、私の予想を察したのか笑って言った。
｢…それね。ルッチが持ってきたのよ。｣
ーーえ、ルッチって、あのルッチ？
なんの風の吹き回しだろうか。ルッチがお見舞いだなんて想像が出来なすぎて、変な汗が出てきた。
第81話 カクの懸念→←第79話 自覚した豹（カクside）
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
