第79話 自覚した豹（カクside） ページ37
カクside
結局わしらの言葉は何一つAに届いてはいなかったようだ。
あいつはわしらの言葉も聞かず、ルッチの心配だけをして避難所をとび出した。
Aは何を言っても、自分の信じた道を疑おうとしない。真っ直ぐすぎるんだ。後悔することはあるようだが…。
周りがどれだけ思っていても届くことは無い。
届くとすれば、自分の信じた人の言葉だけだろう。それが誰とは言わないでおく。
飛び出したAを探しにわしら三人は街に出た。
裏町には既に高波が押し寄せていた。
もしあそこにAがいるとすればわしらでは手遅れだろう。
それにAは能力者。海にのまれれば、確実に命を落とすだろう。
最悪の結果から目を逸らし、必死に彼女の姿を探す。
大橋から裏町の方へ向かおうと、階段を降りようとしていた時だった。
｢A…！！｣
聞き覚えのある声が聞こえた。見ると険しい顔をしたルッチが人獣の姿で高波に突っ込んでいった。
その下にはAの姿があった。
あのルッチが他人のために力を使ったのだ。
しかもその表情からは動揺が見えた。
見てはいけないものを見た気がした。
ルッチがAを抱えて大橋までとんでくる。
｢A！ルッチ！｣
｢…カク。何故こいつから目を離した。勝手に死ぬぞ…こいつは。｣
ルッチは冷静を装っているようだ。先程と打って変わって冷めた表情で淡々と話す。
｢…すまない。だがAはお前が心配で飛び出したんじゃ…。お前も心配さてやるな…。｣
｢こいつに心配される筋合いはない。｣
ルッチは抱えていた二人を雑におろした。
Aの事を名で呼ぼうとしないルッチに苛立ちを覚えた。
｢…Aはお前に惹かれておる。理由はわからんが、お前を心配して飛び出すぐらいにはな…。だとすれば、ルッチ、お前も少しは考えて…。｣
｢ふざけるな！こいつは部外者だ！こいつに俺の何がわかる！｣
｢こいつじゃない！部外者でもない！Aじゃ！｣
｢やめて！二人とも。｣
わしとルッチの間にカリファが現れた。ブルーノも現れ、倒れているAと子どもを抱えあげる。
｢とにかくここを離れましょう…。話はそれからよ。｣
ーーこれ以上話すことはないが…。
ルッチを見ると、ブルーノに抱えられたAを見つめていた。わしの視線に気づいたルッチはふんっと鼻を鳴らし目を逸らした。
どうやらわしはルッチに余計な事を言ってしまったようだ。
嫌な予感は外れてくれとただ祈ることしか出来なかった。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
