第78話 失ったもの ページ36
『ぅ…ん。』
｢…！A！大丈夫か？｣
目を開けるとブルーノさんが私の顔を覗き込んでいた。
ーー助かったのか…。
体を起こしながら、自分の身にあったことを思い出す。
あの時のことを考えると未だに体が震えた。
｢起きて大丈夫か？｣
ブルーノさんも心配そうな顔をしている。早く安心させてあげないと。
『…はっ…。』
ーーん？
口を開けたまま、私が固まっていると、ブルーノさんは不思議そうな顔をした。
｢…とにかく無事でよかった。みんな心配している。｣
ーーそうだ、まずは謝らないと…。
『っ……！』
おかしい。
声を出そうとすればするほど苦しさを覚えた。
｢……。｣
流石にブルーノさんも私の様子がおかしいことに気がついたようだ。
｢…声が、出ないのか？｣
ブルーノさんがそういった瞬間、ブルーノさんの後ろのドアが開いた。
｢…！A起きたのか！まったくお前は何度も何度も…！！｣
怒っているのか安心しているのかわからない表情でカクは私の方へ駆け寄り肩を叩いた。
『…！……ぁ。』
カクにも声を掛けようとするがどうも声が出ない。
｢ん？どうした？｣
｢…それがな。｣
ブルーノさんが説明しようとした時またしても来客。その顔を見て私は安心した。
｢！おねぇちゃーん！！｣
ーーよかった、無事だったのね…。
私はベッドに駆け寄って抱きついてきた男の子の頭を撫でた。
その子の母親であろう人にもお礼を言われた。
私は笑って手を振った。
しかしまだ声は出ない。
親子と別れ、ようやくブルーノさんが話し出す。
｢どうやらAは声が出ないようだ。原因はおそらく…。｣
｢アクア・ラグナ…か。｣
カクは私に紙とペンを渡す。
私はそこに思ったことを書き記した。
【心配かけてごめんなさい。私は大丈夫。それより、ルッチは？】
書いた紙を二人に見せると、二人は顔を見合わせ、呆れた顔をした。
｢お前は本当に…。どれだけ人を振り回せば気が済むんじゃ！A！｣
私はカクに揺さぶられ、堪えていたはずの涙が零れた。
『……っぅ…。』
ーーごめんなさい…。
考えるよりも体が先に動いてしまった自分が恨めしい。
自分をこれだけ心配してくれる仲間がここにいるのに何故無下にできたのか。それ以上にルッチが心配だったのか。自分でも自分がよく分からなくなってきた。
無理はするな。あれだけ言われた言葉を私は無視して飛び出したのだ。
謝りたいのに声が出ない。そのぶん涙が止まらなかった。
第79話 自覚した豹（カクside）→←第77話 飛び出した理由
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
