第74話 避難警報の街 ページ32
ーー本人を目の前にサラッと買ってたなぁ…。手馴れてるのかしらん…。
失礼なことを考えてた。バレなかっただろうか。
プレゼントだと差し出すカクはじっと私を見つめていた。
｢…早く受け取れ。恥ずかしいじゃろ。｣
恥ずかしがる様子は感じられないがそんなことを言う。
『ご、ごめん…！』
行き場のなくなったそのプレゼントをどうにかした方がいいと思った私はカクから受け取る。
｢…前に…。腕時計、壊しとったじゃろ？必要かと思ってな。｣
『…！』
驚いた。
カクが言った時計とは、給仕になってすぐ、ルッチに押し倒された時に壊れた時計のことだろう。あの後カクが手当をしてくれ、仲良くなったんだが、時計の事なんてすっかり忘れてしまっていた。
｢…あの時は飴しか上げられんかったからのう。｣
『いや、飴でも十分嬉しかったよ。それなのに、こんな…受け取れないよ。』
私は受け取ってしまったプレゼントを見つめる。
｢…一度あげたものを返される身にもなれ。それは今回、同行してくれたお礼…そういうことにしといてくれんか。｣
カクはそう言うと、行くぞ、と歩き始めた。
私はそんなカクの後を追い越し、目の前で立ち止まって言った。
『カク、すごい嬉しい！ありがとう、大事にする！』
思ったより大きい声が出てしまった。でもそれほどに嬉しかった。
｢驚いた。…なんじゃ、急に…。｣
そんなことを言いながらもカクは顔を緩めていた。
ーーー
｢アクア・ラグナが来る。そろそろ避難場所まで向かうとするか。宿の荷物は全て運んだし、準備はおーけーじゃな。｣
『いぇっさ！』
私の返事に笑ったカクは私の手を取り、繋いだ。
私はカクがすることにいちいち反応してしまうようになったらしく、みるみる顔が熱くなる。それを見たカクは、
｢…能力は使わないでくれ。｣
と、本気か冗談かわからないことを言った。
もう日が沈みかけていた。アクア・ラグナの警報が流れる薄暗い街の中を、私とカクは一緒に走った。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
