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第73話 プレゼント ページ31

私の手を引き、ずんずんと歩き進むカク。
その表情が見えず不安になる。
とりあえずカクが何か言うまで私は黙ってついて歩いた。

するとカクが急に歩みを止める。

『!いっ…。』

カクの背中に思い切り顔をぶつけた。

『…どうしたの?』

後ろからカクの顔を覗き込むとカクはあるお店を見ていた。

『…時計?』

カクが見ていたのはウォッチショップだった。

「少し寄ってもいいか?」

私が頷くとカクは店に入った。

「いらっしゃい!お兄さん、彼女さんにプレゼントかい?」

店員のおじさんが気さくに話しかけてきた。
私たちをカップルと勘違いしたらしい。
さっきの事もあり、私はいたたまれない気持ちになった。

「んー、まあそんなところじゃ。」

カクは適当な返事をしたが、誰かへプレゼントだろうか。

これで。とカクが言う。買う物が決まったらしい。なんと言うか、スマート。
優柔不断な私からしたらとても羨ましかった。
お金を払い店を出る。

先程と違い、並んで歩く。
ようやく話せる雰囲気になったのを感じ、私は話を切り出した。

『…彼女なんて言ってよかったの?』

「今の店か?」

『ちがうよ、パウリー…。』

私はパウリーに、カクとの関係を兄妹と言おうとしたが、カクはカップルと言った。

「あぁ、そりゃあ…カップルの方が都合がいいじゃろ。血縁関係は後で話題になると厄介じゃ。彼女なら別れたで済む。」

『なるほど…。』

そこまで考えての発言だったとは思わなかった私は黙ってしまう。
そんな様子を見たカクは、

「まあ、言ってみたかったのも多少はあるわい。」

そう言って笑った。

『……怒らないの?』

パウリーと関わったことに対して何も言わないカクに自分から聞いてしまった。

「怒って欲しいならお望み通りに…。」

『ごめんなさい。』

すぐに頭を下げた。怒られるのは勘弁。

「…どうせお前の事じゃ。知らないで関わって、後から知ったんじゃろう。」

その通りだ。しかし関わりを持ったことは事実。しかも今日自ら話しかける失態をおかしている。反省せざるを得ない。

私が項垂れていると、カクが思い出したかのように言う。

「もう済んだ事じゃ。それよりこれ、お前に…。」

そう言って渡されたのは、先程カクが買った時計の紙袋。

『え…。何で?』

私は突然の事で思ったことをそのまま口に出してしまった。

「なんでって…。Aにプレゼントじゃ。」

第74話 避難警報の街→←第72話 カクの嘘



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設定タグ:ワンピース , 愛され , CP9   
作品ジャンル:恋愛
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます!コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります! (2019年10月12日 17時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…!毎回キュンキュンさせてもらってます!更新頑張ってください! (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます!続けてみてくださっていてとても嬉しいです!頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください!!! (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アタル | 作成日時:2019年10月7日 0時

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