第67話 少しの安堵 ページ25
「それでか…ルッチと一緒にいたはずのカクが血相を変えてきたのは…。」
ブルーノさんは私の頭を撫でていた手を下ろすと苦笑しながら言った。
『…カクが…?』
「あぁ…。カリファと俺が話しているところにAからだと言ってカリファに紙を渡していた。」
怒っていてもカクは頼みを受け入れ実行してくれていたようだ。少し安心する。
「…カクはお前が心配なんだ。少しはその気持ちも汲んでやれ…。」
『…そうですね。』
カクが心配してくれているのはここ最近ひしひしと伝わってくる。カクはこんな私の事を心配してくれる数少ない人物だ。大切にしたい。
『後で謝りに行ってきます。』
「…そういうことではないと思うぞ…。」
ーん?私は何か間違ったことを言ったかしらん…。
私がなんのこっちゃという顔をしたのを見てブルーノさんはまたため息をついた。
「もっと自分を大切にしろと言っている…。無鉄砲なことはよせ。あの名刺だって、相手は重要人物だ…。」
ーーあぁ、やっぱり名刺の事バレてましたか…。そりゃあ、しっかり見ますよね…。
『…すみません。』
「…。」
謝れば済む問題では無いと遠回しに言われたにも関わらずすぐ謝る私。
ブルーノさんは呆れた様子だったが、先程の話に戻す。
「それより、能力についてだが、お前の推測は当たってそうか?」
私は自分の能力について考えていた。
村が襲われた時、私の記憶は曖昧であった事。1人で助かったという所から能力が発動したとみてまず間違いないだろう。
そして裏町で襲われた時。あれは確実に私の能力が発動している。カクがそう証言している。その時も、私は能力を抑えることができず自分自身も眠ってしまった。
その日の夜も、ルッチの部屋を訪れた私は無意識に能力を使った。
そして、今日もルッチに能力を引き出された。
今回は自分自身には影響がなかった。
私の能力…。相手の状態を見るに簡単な話だ。倒れた相手は…眠っているだけなのだから。
『…私の能力は、相手を眠りに誘う…。それで間違いないかと…。』
「…なるほどな。それで間違いなさそうだ。ルッチもすでに理解して使っているようだ…。」
ブルーノさんも納得してくれた。
私は能力を操れていないことに恐怖を感じながらも、相手を傷つける能力でないことに少しばかり安堵していた。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます!コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります! (2019年10月12日 17時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…!毎回キュンキュンさせてもらってます!更新頑張ってください! (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます!続けてみてくださっていてとても嬉しいです!頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください!!! (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アタル | 作成日時:2019年10月7日 0時