第64話 私の能力 ページ22
｢…ルッチ。Aに用があるようじゃが、Aはそれどころじゃないようじゃ…。悪いが今日は返してやってくれんか…？必要ならわしが届けてくるわい。｣
｢…それは無理な話だな。こいつは仕事をしに俺の部屋に来た。こいつがどんな状態だろうが命令には従ってもらう。｣
カクとルッチは何やらバチバチと火花を散らしながらも冷静に会話をしていた。
『…すみません。こんな状態で伺ってしまって…。こんな私でもお役に立てるのであれば…。』
ふわふわとする頭で必死に会話を理解し、平然な振りをしてルッチに話しかける。
｢…問題ない。部屋に入れ。｣
｢ルッチ！｣
｢…なんだ。こいつが決めたことに口を出すのか？｣
｢ぐ…。｣
カクは心配してくれているようで、私を止めようとした。
『大丈夫。もう酔いは覚めた…。それと、カクにお願いがあるの。』
そう言って私は先程アイスバーグさんに貰った名刺をカクに渡した。
『これをカリファさんに渡して欲しいの。役に立つかは分からないけどって…。』
えへ…と笑って酔いを誤魔化そうとした私にカクは怒っている様子だったが黙って名刺を受け取り、この場を離れた。
私は既に部屋に入ったルッチの後を追う。
ルッチはこんな状態でも問題ないと言う。
何をさせたいのだろうか。
部屋に入るとルッチはあの時と同じようにソファに腰掛けていた。
ルッチの前の机上には何やら錠剤が無造作に転がっていて、空のコップが置いてあった。
私の視線を追ったルッチは言った。
｢…今しがた報告ついでにカクが置いていった…。俺に薬は効かないが、気休めらしい。｣
ーー睡眠導入剤…。
『…そうなんですね。』
気になっていたことを切り出す。
『…それは、私を呼んだ理由と関係のあることでしょうか…？だとしたら私では力になれるか…。』
ーわからない。そう言おうとすると、先にルッチが言った。
｢…さぁな、俺にもわからない。分かることといえば、昨日俺は朝まで起きることなく眠れた…ということだが。｣
そう言って私の顔を見つめるルッチ。
よく見ると目の下にはうっすらとくまが見えた。
｢…お前の能力なんだろう？昨日お前が気絶して眠っている間にカクから話は聞いている。昨日、襲われた時男に何をした…。俺に何をしたんだ。｣
そう言って立ち上がると私の方に歩み寄り壁際に追い詰める。
｢…今の俺にはお前が必要らしい…。お前の能力がな。｣
ーー私の能力が、か…。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます！コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…！毎回キュンキュンさせてもらってます！更新頑張ってください！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます！続けてみてくださっていてとても嬉しいです！頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください！！！ (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アタル | 作成日時：2019年10月7日 0時
