第53話 ルッチの気持ち ページ11
ーー目を覚ますと…って私は何回これをやるんだ…。頭が痛む。そして頬も。
地べたに押さえつけられた時擦りむいたのだろう。誰かが手当してくれたのか、触ると頬には
ガーゼが貼ってあった。
窓の外を見ると既に日は沈んでいた。
あれからずいぶんと眠ってしまっていたらしい。
寝室から出ると、カリファさんとカクとブルーノさんが何やら深刻な顔で話をしていたが、
私の顔見ると顔色を戻した。
「!A…。もう大丈夫なの?」
『…はい。ご迷惑をおかけしてすみませんでした…。』
頭を下げる。
「…気にするな。Aが無事で何よりじゃ。」
『…。』
優しい言葉を掛けてくれるが、気にするなと言われても無理な話だ。
ルッチに言われた後すぐにこれだ。ルッチも呆れているのだろう。部屋にいないのはきっとそういうことだ。
「…悪いな。ルッチは最近少し調子が悪くてな…。部屋で寝ている。まぁ、寝れないから不調なんだが。」
ブルーノさんが私の考えを察したかのように言う。
ーー私が寝てる場合じゃなかった。…こんな時に私が働かなくてどうする。
『…ルッチさんの部屋、どこですか?』
ーーー
私はミルクを持ってルッチの部屋に向かっている。
カクやカリファさんは無理するなと言ってくれたが、平気と言い張った。
今ルッチに会うのはかなり気が引ける。むしろ会いたくないが、そうすれば何のためにここに来ているのか分からない。
そういう事をルッチは一番嫌うだろう。
カクに聞いた番号の部屋を見つけ、ノックをする。
返事はないが、試しにドアを握ると簡単に開いてしまった。
ーー不用心…。相当弱ってるのね…。
部屋に入ると真っ暗の中、ソファにもたれ掛かって座るルッチがいた。
「………。」
月明かりに反射してルッチの虚ろな目がキラリと光る。
『……ルッチさんの言う通りでした。私は何も出来なかった…。皆さんに迷惑をかけました…。』
急に涙が出てきた。起きてからずっと堪えていたのだ。悔しかった、怖かった、安心した。
色んな感情がぐちゃぐちゃになった涙だった。
「……。」
ルッチは黙って聞いていた。しかしその目はまっすぐ私を見ていた。
前にルッチは弱い奴は気に食わないと言った。
その後、私を気に入ったとまで言ってくれたルッチは、もう私の事を嫌いになっただろうか。
不安な気持ちを抱えながら顔を上げると目の前にルッチが立っていた。
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アタル(プロフ) - サクラさん» サクラさん、ありがとうございます!コメントで感想を送ってくださると本当にやる気が出ます。自分で始めたので頑張るというのもなんか変な感じですが、頑張ります! (2019年10月12日 17時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - カクもルッチもカッコいい…!毎回キュンキュンさせてもらってます!更新頑張ってください! (2019年10月12日 16時) (レス) id: 2be65d96af (このIDを非表示/違反報告)
アタル(プロフ) - akane10746さん» 前回からコメントありがうございます!続けてみてくださっていてとても嬉しいです!頑張ります。 (2019年10月8日 13時) (レス) id: e103d991e7 (このIDを非表示/違反報告)
akane10746(プロフ) - 毎回面白いです!更新頑張ってください!!! (2019年10月8日 9時) (レス) id: 38a8873821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アタル | 作成日時:2019年10月7日 0時