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星43個 ページ43

下を向くと、時透さんと視線が交わる。
何故だかそれがとても気恥ずかしくてそっぽを向いてしまう。




「目が覚めたんだね、よかった。よかった」





微睡みながら言う彼は、いつもより数段幼く見えた。たぶん寝惚けてる。


ほんの少しの安心で口元が緩みそうになるから、時透さんの顔を見ず窓の外を見る。
しかし、彼は私の気持ちなんて露知らずするりと手を握った。




「僕は心配してたんだよ。Aが帰ってくるかもって思って夕餉を作っていたらあんな連絡がくるんだもん。だから、顔ぐらいちゃんと見せてよ」






呂律が少し回っていない寝言みたいなものだった。仕方なく目を合わせると、彼は少しだけ目を細めた。



「声でるようになったんだね」



「あ、………言われて初めて気づきました」




自分の喉のところに手をやると、声を出す度に震えているのがわかった。
今まで時透さんがいたから当たり前の生活が送れていたけれど、やっぱり自分の声が出せるっていうのは嬉しい。



そう思っていると、握られた手が彼の指先で撫でられるのがわかった。
突然のことに、血管が千切れるんじゃないかってくらい心臓が動く。




「前から思ってたけど、Aの手って綺麗だよね。爪も切りそろえてあるし、ささくれもないし」





「そんなこと!!……ないです……」





しまった。思わず大きな反応をしてしまった。
時透さんはぽかんとした顔で私を見ている。
頭が真っ白になって、何を言えばいいか分からなくなる。





「だって、私の手なんて身内を斬った手ですよ?そんな手が綺麗なら、世の中のほとんどの人の手は綺麗です」




言い終わって自覚する。
これからは逃げきれない。
大切な家族を斬った。鬼になったのは私のせい。私がもっと妹の姉らしくいれたなら。妹とちゃんと向き合えていたなら。
そんな後悔がドロッと溢れだしてくる。




私の記憶を彼は血気術で見たと聞いた。そんな彼ならわかってくれるだろう。
そう思っていた時、私の手が強い力で包まれた。






「Aの手は綺麗だよ」





まっすぐな目で時透さんはそう繰り返す。





「確かにAは妹を斬った。でも、それはAなりに妹が人として最期を迎えられるように考えた結果でしょ?妹があれ以上罪を重ねないようにどうしたらいいか考えた結果でしょ?」




「もし、そうだったんならAはちゃんと姉だったよ」

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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