星42個 ページ42
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胡蝶さんにおおまかな話を聞いて、膝から崩れ落ちそうになった。
なんであんたまで倒れてるんだよ、と恨み言を一つ、目の前で寝てる時透さんに呟く。すよすよと眠る彼の目の下には普段はない隈ができている。
「心配してくれてたのは嬉しいけど、もうちょっと自分の体を気遣って下さいよ…」
傍にいてあげて欲しいという胡蝶さんの言葉に嘘偽りは無かったようで、本当に目が覚めるまで座っているだけみたいだ。
鎮痛剤を先程貰ったので、体は痛まない。
窓から見える青々とした森とひらひらと舞っている蝶を眺めながら言葉遊びをする。
その遊びが終わると本棚にある本を読んで、空が暗くなり始めたら日が沈む様を見ていた。
夜になるまで一人で何かをしていたけれど、とても退屈だった。
今日は空気が澄んでいて星が綺麗に見える。いつもならわくわくしながら星座を探していた。でも、そんな気分になれなかった。
理由はなんとなく分かっている。
時透さんがなかなか目覚めないからだ。夜空がこんなにも綺麗な日。少し前なら彼に星座の一つでも教えていた。
しかし、今彼は眠っていて教える相手がいない。そして、教えている期間が長すぎて、一人でどうやって楽しんでいたのか忘れかけている。
「寂しい」
ぽつりと呟くと、それは自分の心にじわじわと染みていく。
鎮痛剤の効果がきれ始めて体の節々はまだ少し痛んだ。でも、なぜだか近くにいたくて彼のそばまで動く。
できることなら、時透さんが今すぐに目覚めたらいい。そしたらいつもの調子で「何?」と一言言えばいい。
それに「なんでもないです」と返す準備はできているんだから。
「ばーか、阿呆、おたんちん、もうふろふき大根作りませんからね〜」
思いつく限りの悪口をそのまま言ってみる。
すると、私の手が包まれた。
「それは困るよ」
その声に目線を下げると、時透さんは本当に少し困ったような顔でこちらを見ていた。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時