星が鳴る【時透無一郎】 (ページ36)

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星36個ページ36

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"甘露寺さん!!"

任務中、最後の最後で頭を強打してしまい、隠の人達に引っ張られて超屋敷に来ていた。

すると、そこには甘露寺さんがいたので、嬉しさのあまり前に回り込んでしまった。

"甘露寺さん、お久しぶりです!!"

挨拶をしようとして思い出した。
私は今、声が出ない。
当たり前のように時透さんと会話が成立していたから忘れていた事だった。

ぱくぱくと間抜けた表情で口を動かす私を見て、甘露寺さんは目を見開いた。
彼女はぺたぺたと私の頬を触る。

「Aちゃん…だよね？お化けじゃないよね？」

声の代わりに頷いてみせると、甘露寺さんの顔がぐにゃりと歪んだ。
それをはっきり見る前に彼女に抱きしめられる。

「良かった〜！目が覚めたのね！」

壊れないように、あまり力を入れられていない腕。私は、甘露寺さんが落ち着くまで背中をぽんぽんと叩いていた。

「声が出なくなったの!?」

蝶屋敷で看てもらった後、近くの甘味処で事情を身振り手振りで伝える。
甘露寺さんは最初は冗談だと思っていたみたいだけど、伝えているうちに察したみたいだ。

「それは大変でしょう。文字が書けないって前言っていたし、お話するときはどうしてるの？」

質問に答えるために、私が手で時透さんの髪型を真似てみた。

「え!?もしかして、私が知らない間に二人の仲が深くなったの!?」

ドギマギして話す甘露寺さんの言葉に私は今までのことを思い返す。
確かに、甘露寺さんと女子会のようなものをした時より仲は深くなった。
そんな気がする。

"そこそこは"

そんな意味を込めて頷くと、彼女は顔を赤く染めた。

「も、もしかして、恋仲になって……」

"ません。"

間髪入れずに首を横に振ると、甘露寺さんは少し残念そうな顔をした。
給仕さんに注文した甘味はまだ残っている。
これは、また女子会かな。

少しだけワクワクしながら、団子を一口頬張った。