星34個 ページ34
時透視点
"今日、一緒に寝てくれませんか?"
夕餉の時にそう聞かれて、僕は驚きのあまり箸を落としてしまった。
どうやら昨晩怖い夢を見てしまって、一人で眠りたくないそうだ。
その理由を聞いた時、安堵する反面悲しくなった。
僕のことを男として意識していない。
そうはっきり言われたみたいだ。
二つの布団をぴったりと並べる。
年齢的に一つの布団で寝るのが難しいからの判断だった。
おずおずとお互いに布団に入る。
蝋燭の火を吹いて消そうとした時、とんとんと肩が叩かれた。
Aの方を見ると、顔を真っ赤にして手をこっちに出していた。
意味がわからず首を傾げていると、彼女はぱくぱくと口を動かす。
"手、繋いでいてください"
差し出された手は、僕の手より小さかった。
変に力をいれてしまったら粉々に砕けてしまいそうな手で、壊れてしまわないようそっと包むように繋ぐ。
蝋燭を吹き消して、布団の中に入る。
繋いだ手からはじんわりと体温が伝わってくる。その感覚が僕はなんだか恥ずかしかった。
数十分もすると、規則正しい寝息が聞こえてくる。
僕も寝ようと思って目を閉じるけど、そうすると、Aと一緒に寝ているという事実がさまざまな感覚を通じて伝達される。
例えば音。Aの寝息のリズムから始まって布団が動く音までが、絶えずに僕の耳から入ってくる。
他にも石鹸の匂いが彼女が動く度に香ってくる。
手から伝わる体温だってそうだ。僕は変に手汗をかいていないか心配になってくる。
寝ないと明日に響くことはわかっている。
そういえば、誰かが「寝る前には羊をたくさんかぞえるの。」と言っていた気がする。
羊が一匹、羊が二匹、…………
数えても数えても、眠くなる気配のない方法に所詮おまじないなんだろう。
ふうっと息を吐いて、目をつぶる。
すると、今までの眠れなさが嘘みたいにあっさりと意識は夢の世界に連れてかれた。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時