星4つ ページ4
夕日は沈み、夜が訪れる。
里に着いた私たちを一番に歓迎したのは、気分が悪くなるほどの血の臭いだった。
「これは、かなり喰べてますね。」
「鬼は屋内に出ると情報がある。東を頼む。」
「了解です!!」
私たちは同時に逆方向に駆け出した。
それにしても、人っ子一人いない。気配も無い。
これはもしかして、里の人全員喰べられたのかもしれない。
いつでも抜刀できるように、私は刀に手を添えた。
屋内に出る。
そう分かっているならすることは一つだけ。手間はかかるけど一軒一軒屋根裏から犬小屋の中まで確かめることだ。
「鬼さ〜ん、出てきた方がいいよ〜。」
何十軒目だっただろうか。鼻が良くない私でも分かる。
腐った木材の臭い。そこに混ざる血の臭い。
臭いの源を辿ると、浴室だった。タイルの一角の不自然なものを持ち上げると、ぽっかりと穴が空いている。
その穴の中に体を滑り込ませた。
滑り落ちていると、鼻を刺激するおびただしい程の血の臭いがする。次の瞬間、視界が広くなった。
どうやら穴が終わったみたいだ。
壁にいくつも穴が空いている狭く暗い地下室。生気のない目をした人が転がっている。その中央で、鬼は人の足を貪っていた。
「おや、おやおやおや。今日はこんな小娘か。」
鬼はそう言って微笑み、もう一口肉を喰べた。
「一応聞こう。あなたは人を喰べたことに、罪悪感はある?」
鬼はニタリと不気味に笑った。
瞬く間に鬼の姿は消える。
「そんなもの感じてねぇよ!!!」
嫌な声が地下室に響いた。
私は刀を抜いて構え、食べるようにして肺に、体中に空気を取り込む。すると、体が燃えそうなくらい熱くなる。
大丈夫、私は強い。
「全集中・星の呼吸肆の型星降らし」
刀を頭上から振り下ろす。その時の衝撃が消えることなく反対側の壁まで届く。何も無い所から血が滴り、シミを作った。
「そこか!!」
そこ目掛けて縦方向にも、横方向にも刀を振る。
何度目だっただろうか。
灰みたいな臭いがした。
頸を斬った。その事実を理解した。
パンと手を合わせて、地下室から出る。
今日の月は半月だ。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時