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星28個 ページ28

カチッと音がして、頭の中に流れていた映像が終わった。





この先のことは、ちゃんと覚えている。
私がアカネの頸を斬った。
私をこの穴に落とした鬼は、それを遠くで見て悲しそうに笑っていた。







深い海の底みたいに、光が届かない。
体にまとわりつく空気は鉛のように重い。





上に向かって進めばいいのだろうか。
それとも下に向かって進めばいいのだろうか。


本物の水じゃないから息はできるんだけど、なんだかここは居心地が悪い。
とにかく、ここから脱出しようと上に向かって歩き出す。






一歩踏み出すと、上に続く階段が現れた。
一段上がる。すると、頭に声が流れてきた。




「お姉ちゃんのせいだよ。」




その声と、言葉の冷たさに一瞬息が止まる。
試しにもう一段上がってみた。





「お姉ちゃんさえいなければ、私は幸せだったのに。」





そう言うと、アカネの声は消えてしまった。
もう一段、もう一段と上がり続ける。
その間、ずっと私を非難するアカネの声が聞こえていた。






アカネはこんな事言う人じゃない。
そう頭で分かっていても、心はみしみしと音を立てて圧迫される。




聞きたくない。でも、動かないと脱出なんて出来ない。
ぎゅうっと目を閉じて耳を塞ぎ、階段をかけ登った。





声は頭に直接響いているから、無駄だってことはわかっていた。
それでも、自分を守るような行動をしないととても耐えきれなかった。






声はだんだんと大きくなっていく。
壊れかけている心をなんとか守ってくれていたのは、お母さんの言葉だった。





「__どんな時でも、自分のことを好きでいてあげてね。大丈夫。Aは強いわ。」




大丈夫。大丈夫。大丈夫。
何度も自分に言い聞かせる。
いつの間にか声は消えていて、私は耳を塞いでいた手をどけた。




大丈夫だともう一度言い聞かせて、階段を上がる。
何故だか声はしなくなっていた。




トントンと、一定のリズムで登り続けると、階段の終わりが見えてくる。
一段、一段と登って、最後の段。





すっかり安心して、私は一歩踏み出す。





「アンタが死ねばよかったのに。」





同時に、今までで一番大きな声が響いた。
アカネの声だけじゃない。お母さんやお父さん、鬼殺隊に入ってから仲良くなった人全員の声が重なっている。







____パリンッ。





頭の奥の方で何かが砕ける音がした。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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