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星25個 ページ25

「………え?なに、それ?」





アカネが鬼になった。その事実が受け入れられなかった。受け入れたくなかった。
それでも、アカネは褒めてと言いたそうな顔で私を見ている。






「お母さんとお父さんを襲ったのは鬼なんだよ?!それなのに、なんで鬼になったの??!!」





悲鳴にも近い声が喉から漏れる。
彼女は鳩が豆鉄砲をくらったような表情。大きな瞳からは涙が零れてしまいそうだった。





「うねうねした髪のお兄さんが教えてくれたの。鬼になったら体が弱いのだって治るって。ご飯を食べなくても生きていけるって。だから……」





「だから?そんな事で鬼なんかになったの?病弱だから悪いって私言ったことないよ。」






「違う!!私は寂しかった。朝起きてお姉ちゃんが居ないのが寂しかった。一人で食べるご飯が嫌だった。」






アカネが言ったことに、私は目の前がだんだん暗くなるのを感じる。
それを知らずに、彼女は続けた。






「私がお姉ちゃんの負担になっているみたいで、嫌だった。いつも働いてて、倒れないか心配だった。だから、私は鬼になったの。」








アカネを鬼にしてしまったのは、私だった。
彼女の気持ちや考えを聞かないで押しつけた優しさが、結果的にアカネを追い詰めた。





「これからお姉ちゃんは、自分のことだけを心配してくれたらいいの。自分の妹だからって私の世話を焼いたりしないで。」




違う。
私はただアカネに人として真っ当な幸せを感じてほしかった。
アカネのことを好きだって言ってくれる人と過ごすまで、彼女のことを守り抜きたかった。



姉としてってところもあるんだろうけど、何よりも大切な人だから自分より幸せになってほしかった。





「これ以上、ここに居たらお姉ちゃんに迷惑をかけるから、私はもう行くね。」






蹲る私にそう声をかけて、アカネは体の向きを変える。
何か、なんでもいいから言わないと、と思っても口は動かない。考えもまとまらない。
アカネの足音だけが、静かな空間に響く。




立て付けの悪い戸を開ける音が耳に入る。
何も出来ない自分に腹が立ってぎゅっと縮こまった。




その時、「ギャッ!!」と短い悲鳴が聞こえてきた。
後ろを向くと、戸のところに誰かが立っている。手に持っている刀が、月明かりを反射してキラキラと輝いていた。目は自身の足元を見ていた。
その視線の先で、アカネは腕から血を流して座り込んでいた。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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