星が鳴る【時透無一郎】 (ページ18)

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星18個ページ18

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ほんの少し、いつもより手入れを頑張った髪。
嬉しくてつい走ってしまったから崩れてないかなと、手ぐしで整える。

最近、知人の家を訪ねることがなかったから、戸を叩くだけのことでも緊張する。
深呼吸をして覚悟を決め、手を動かす。

「ごめんください。甘露寺さんはいらっしゃいますか？」

「Aちゃん、久しぶり〜。よし、じゃあ行きましょうか！」

「はい！どこまでもお供します!」

今日は前から約束していた、一緒に甘味処に行く日。
手紙が届いた日には嬉しすぎて二十分ほど飛び跳ねたくらい、この日を楽しみにしていた。

甘味処は、西洋の文化が混ざった作りで、どちらかと言うと『喫茶所』に近いと思う。
本当に饅頭が出てくるのかってくらいお洒落で、ちょっと落ち着かない。

「饅頭と、……紅茶？をください。」

メニュー表の飲み物の欄から、一番緑茶に近いものを選ぶ。饅頭はあるのに、緑茶が無いのは不思議だ。

甘露寺さんはたくさんの甘味を頼んでいる。伝票がとてつもない長さになっていた。
たくさん食べられるのは凄いな。自然と顔が綻ぶ。

次々運ばれてくる甘味は、普段食べるものより何倍もキラキラした。
饅頭一つとっても、形から凝っていた。

「いただきます。」

手を合わせて、それを食べる。
餡子はそんなに甘くないのに、病みつきになる美味しさだった。

「Aちゃんは好きな人とかいないの？」

「え!?」

その質問が発せられたのは、美味しそうに食べる彼女を紅茶を飲みながら見ていた時だった。
唐突なその話題に紅茶のカップを落としそうになる。

「いやいや、い、いる訳ないですよ!アハハハハ!」

隠しても特に意味の無いことだとはわかっていたけど、どこか恥ずかしくて誤魔化してしまう。
自分の嘘の下手さを恨んだ。

「じゃあ、どんな殿方が理想!?」

そう尋ねられた甘露寺さんの目はキラキラしていた。
これは、頑張って答えないと……!
よく分からないやる気をみなぎらせながら、ふと思う。これが噂の女子会ってやつかなって。