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星15個 ページ15

「あの〜、夜遅くにすいません。」




困った顔を貼り付けて、私は扉をコンコンと叩いた。
小さな物音がすると、優しそうな老婆が「どちらさん?」と言いながらそれを開ける。




「旅の者なのですが、宿を見つけられずに日が暮れてしまいまして、迷惑でなければ泊めていただけないかと……。」




「若いのに大変だね。寝床ぐらいしか用意出来ないけど大丈夫?」





「はい!ありがとうございます!!」





心配するような声に、本当はこの人は鬼じゃないのではないかと思う。
もしかしたら、何かの間違いなんじゃないか。
そんな淡い期待を一瞬抱いてしまった。



老婆は私を一番奥の部屋に通した。
彼女は布団を敷いて、おにぎりを持ってきてくれた。「これくらいしか出せないの。」と言葉を添えて。





私が床に入ると、寝付くまで世間話をしてくれた。私は朝まで起きていなきゃいけなかったから、途中から寝たフリをした。









どれくらいの時間が経ったんだろう。
木々が揺れる音や鳥の鳴き声すらしなくなった頃だった。




床が軋む音がした。
老婆のものだろう。こんな時間にどうしたんだろう。厠か?
そう思っていたら、「起きてる?」と襖の奥から声が投げかけられる。





「……起きて、ない、のね。」




その声は先程までのしゃがれた声では無く、若く澄んだ声だった。
それと同時にパキッペキッと嫌な音も聞こえてくる。



懐の刀にゆっくりと手を伸ばす。
襖がゆっくり開けられて、老婆だったものが入ってくる。
それは私の枕元に立って……




急速に迫ってくる気配に私は刀を抜いて、振り下ろされる爪を防ぐ。
刀は鋭い音と共に弾き飛ばされた。老婆の皮を被っていた鬼を蹴りとばす。




「我妻君!!」




お腹の底から声を張りあげて呼ぶと、雷のような速さで彼は私たちが居る部屋まで来た。
よく見たら我妻君は目を閉じている。




「Aちゃん、ありがとう。ここからは俺が頑張るから。」




そう言った彼の背中はとても広く感じた。

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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時

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