星14個 ページ14
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「無理無理無理!嫌だよ〜っ!だってさ、一緒に行く子Aちゃんだよ!守ってあげたいけどさ、俺弱いもん!!」
どうしようか。
蝶屋敷に来て十秒で心が折れそうになったのは初めてだった。
休みも終わり、単独任務を何度かこなした中での指令。
新人と東南の村に行って鬼を狩る。
鬼は今回そんなに喰ってはいないから、新人に経験を積ませるためにとのことだった。
「大丈夫。自分の身は自分で守れるくらいには強いから、我妻君は自分のことを考えてくれたらいいよ。」
さっきからアオイちゃん達の目線が痛い。
正直、任務に行く前に心がズタボロになってしまいそう。
大声で騒ぎながら、屋敷の柱にしがみつく我妻君を引き剥がす。
そこまですると、観念したのか彼は膝をガクガクさせながらも着いてきてくれた。
「鬼は旅人を親切なお婆さんのフリをして泊めて、喰べるって噂があるの。だから、一人は変装してその家に行こうと思うんだけど、大丈夫?」
「え、あああいいいと思うけどさ、どっちが行くの?」
村の手前の森での作戦会議。
彼は暗闇の中でも感じ取れるほど震えていて、見てるこっちまで震えてしまいそうだ。
「作戦の立案者は私だから、私が行くよ。我妻君は周りの家に住んでる人を逃がして。」
包みを解いて、旅装束や笠を取り出す。
雲に隠れていた月が姿を現す。我妻君の顔がはっきりと見えた。
「我妻君、お願いね。」
「……何か大きな音がしたら、すぐ行くから。無茶しないでね。」
その言葉に内心ドキッとした。
自分の腕に傷をつけて血を流せば、稀血の私じゃなくても鬼かどうかくらい正確に判断できると思ってた。
真っ直ぐな目が、私をとらえ続ける。
「わかった。頼りにしてる。」
そう言うと、彼は優しく笑った。
考えを見破られたのかは分からない。
でも、他の方法でどうにかしようと思うには十分だ。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時