星2つ ページ2
善逸視点
「ねぇ、君。」
優しい声に俺は声のした方を向いた。
すぐに俺の目はその子に釘付けになる。
すみれ色の髪、瑠璃色の瞳にほんのり赤みがかった乳白色の肌。デザインが少し違うけど、鬼殺隊の隊服を着ている。
そして、なにより音が変わっていた。
優しい音なのに、爪先でも触れてしまえば壊れてしまいそうな程儚い。
「その子、困ってるよ。離してあげたら?」
「は、はい。」
俺が手を離すと、パタパタと音をたてながら女の子は何処かに言ってしまう。
「とりあえず、自己紹介しよう。私は星鳴A。君は?」
「俺、我妻善逸って言います。」
「よろしくね、我妻君。」
差し出された手を握り返す。
手の皮は厚い。きっとたくさん修行したのだろう。
「俺、雷の呼吸を使うんだけど、Aさんはなんの呼吸を使うの?」
Aさんは少しキョトンとして答えた。
「私、たぶん我妻君より年下だから普通にAって呼んでいいよ。」
「え!?年下?」
「うん。私十四。」
「ほんとだ……」
雰囲気や話し方がやけに大人びていて、年上なんだと思っていた。
「あ、それで私の呼吸だけど、星の呼吸って言って、」
「伝令。冨岡様と任務。彼の屋敷で待っているそうだよ。」
鎹鴉の声が静かにそれを告げる。
その声を聞くと、Aは嬉しそうな顔になった。
「あ、我妻君、任務入ったから行くね。生きてたらまた会お。」
大人びた雰囲気が一変、年相応の少女の雰囲気になる。
音も、さっきまでの音に恋をしているような音が混ざっている。
「うん。また生きてたら会おう。」
少し泣きそうになりながら、彼女の後ろ姿を見送った。
これが炭治郎に会う六刻前の話だ。
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☆カペラ★ - こんばんは、これめっちゃ良い話ですね!ハマりました!!時透君カッコいい!!更新頑張ってください! (2020年1月14日 21時) (レス) id: 04526cdaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コゲパンです。 | 作成日時:2019年9月7日 23時