FILE.107 最期の一冊 ページ7
『母は唯一私を愛してくれる人でした。
小さなアパートに2人で住み、憎くも頼みの綱である父親からの養育費で生活をやりくりしていました。
でも、母は私を育てるので精一杯で、顔には出さずとも、疲弊しきっていました。
まだ私が純粋だった頃、母を何度か外遊びに誘いましたが、断られてばかりでした。
その時母は決まって、''太陽が苦手だから''と言いました。
私は思いつきました。
母と太陽を仲直りさせればいいんだと。
5歳の誕生日に母と外で遊ぶ約束をしました。
それが母の最期になりました。
長い間日光に照らされながら遊べば母と太陽は仲直り出来るだろうという愚直な考えで、公園に無理やり連れ出したんです。
10分もしないうちに母は倒れ、死にました。
______これを聞きつけた母の親戚は、今まで他人顔をしていたくせに、死亡保険金目当てで私に近づき、また、母を殺した私を大衆の敵として、ストレスのはけ口として利用し始めました。
次第に人殺しと呼ばれるのが普通になり、私も自分が人殺しだと自覚するようになりました。
母と住んでいたアパートは私がそのまま引き継ぎ、私が中学校に入学するまで、母の親戚に嫌な顔をされながら、週替わりで世話をしてもらいました。
そこからは特別に許可をとってアルバイトをしながら学校へ通い、一人暮らしをしていましたが、人殺しのあだ名は学校中に広まり、居場所はみるみるうちになくなっていきました。
ある日、ふと魔が差して、自害しようと思ったんです。今すぐ楽になる方法はそれしかないって、取り憑かれたように。
....でも、縄をくくりつけて、踏み台に登り、首を委ねようとした時、綺麗に棚にしまってあったはずの一冊の本が急に落ちたんです。
私は一度手を下ろしてその本を拾いました。
読んだことの無い漫画本でした。
でも、その漫画本が、死ぬ前に私になにか伝えようとしてくれたような気がして、最期の一冊と思って読んだんです。
その漫画は長く続く推理物で、落ちてきたのは35巻でした。
その巻では、ある女の子と男の子が、通り魔に襲われそうになっていました。
でも、その通り魔の寄っかかったフェンスがたまたま壊れて、通り魔は高い建物から落ちそうになったんです。
襲われていた女の子と男の子にとってその偶然は、逃げる絶好のチャンスでした。
でも、次のコマを見て驚きました。
女の子はその通り魔の腕をつかんだんです。
そのあと男の子が来て、通り魔は助かりました。』
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凛音 - 面白かったです！でもこれで終わりなのが寂しいです。 (10月8日 20時) (
レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！大変だとは思いますが、更新楽しみに待っています！！ (2023年5月11日 18時) (レス) @page23 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アリアス - 凄く面白いです。Twitterフォローさせて頂きました。固ツイの部屋の情報とてもありがたいです。更新無理なさらず……楽しみにしています (2022年7月4日 19時) (レス) @page37 id: 14e0364a88 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - すごく面白いです！！ 第1話から ぶっ通しで読んで 気づけば朝になってましたw 更新停止なのが勿体ない！続きが書かれる事を願ってます (2022年4月28日 7時) (レス) @page37 id: 41374f889f (このIDを非表示/違反報告)
こぎつね(プロフ) - すごく面白いです！1章から一気に読んでしまいましたw更新楽しみにしてます！ (2022年3月15日 10時) (レス) @page37 id: b879b0bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+G | 作成日時：2021年8月16日 11時
