Player~気がついたら能力者でした~

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「あー、暑い……」
人の目を盗んで『能力』を使う私。その日のために能力を試したりしたものだ。すぐ溶ける氷でも、少しくらいは涼めるものだ。

今日は運動会である。運動部、特に陸上部の人が張り切っている。何故か、演奏がないはずの吹奏楽部も張り切っている。私は茶道部なので張り切るも何もない。

運動の嫌いな私にとって、運動会は憂鬱でしかない。徒競走では、大抵自分より少し足が速い人と組まされてビリになる。苦手という訳ではない。運が悪いのだ。

それに比べ今日は運が良かった。運動会は運が動く会と思ったくらいに良かった。徒競走の相手が私よりも足が遅そうな人たちばかりだったのだ。

だが残念ながら親は見ていない。大事な仕事がどうのこうのとか言っていた。次の自分の番に備える。
スタートの音がグラウンドに響き渡る。今回は勝てるという自信を持って走る。しかし結果は＿ビリだ。運動会に何も賭けていない私でも、ビリでは落ち込んでしまう。先にゴールしていた琳が話しかけてくる。
「お前、1番遅い組のグループだろ。学年でべったこかよ」
「ただ運が悪かっただけだし。私より遅い人はいるはずだよ」
「美紅、ずっとそうやって言い訳すんのか？」
図星だった。運が悪いと言って自分が足が遅いことを認めていなかったのかもしれない。琳が少しだけ格好良く見えた。

運動会は始まったばかりだ。

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