ロケットだん ページ35
・
私はあの日、セキエイ高原……ポケモンリーグへ向かったグリーンを見送ったのを最後に、彼とは会っていない。
噂でトキワジムに就任したというのは聞いたけど、実は会いに行ったことはない。
会いに行こうと思えば、行けただろう。でも、私はトキワシティに行けなかった。
トキワシティ
あそこにはロケット団という、カントー地方を拠点に暗躍していた犯罪組織のボス……サカキがジムリーダーを務めていた。
だが、レッドがサカキに勝利した後、トキワジムは一時閉鎖。
7つ目のバッジを貰っていた私は、一時閉鎖して方針が決まっていないタイミングで訪れてしまったため、ジムに挑戦する事は叶わず、ただバッジを貰うだけになってしまったのだ。
だから、私は8つ目のジムを制覇したわけじゃない。
……ズルで得たバッジだ。
それに私は、ロケット団が嫌いだ。
だって、あの人達は___
「思い出しちゃダメ! ……ロケット団はレッドが倒してくれたじゃない。もう解散したんだから……!」
自分の頬を思いっきり叩き、さっきまで考えていた事を吹き飛ばす。
今日はコトブキシティで一泊する予定なんだから、夜になる前に早く移動しないと!
そう思い、一歩踏み出そうとした時だった。
「!?」
突如ボールから誰か出てきた。
振り返るとそこにはモウカザルが立っていた。
「……もう肩には乗せてあげられないよ?」
残念ながら大きくなり多少重くなったモウカザルを肩に乗せるのは負担がかかる。
その意味を込めてそう尋ねたが、モウカザルは首を横に振り、私の言葉を否定した。
モウカザルは私の隣に並ぶと、私の手をとった。そしてそのまま手を引っ張って進んで行くではないか!
「……もしかして、早くジムに挑戦したいの?」
モウカザルはこちらを少し見つめた後、コクリと頷いた。
……仕方ないなぁ。私も早くハクタイシティに行きたいし。
「よし! それじゃあ行こっか!」
モウカザルに負けないよう、私も彼の手を引いてクロガネゲートへと走った。
……私は後ろで少し悲しそうな表情をしたモウカザルに気づくことはなかった。
・
384人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恵野(プロフ) - 羽月さん» コメントありがとうございます! あ、匂わせに気づいちゃいましたか? 続編の方でちょっとしたヒントを出す予定なので、宜しければどんな過去があったのか予想してみて下さい! (2021年10月9日 23時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
羽月(プロフ) - え、もうめちゃくちゃ好きです!主人公は過去に何かしらあったんだなぁ程度の匂わせで、すぐには公開しないところがめっちゃ好きです! (2021年10月9日 23時) (レス) @page50 id: 9c44afdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 黄桃さん» コメントありがとうございます! 完結なんて何十年後になるやら……(遠い目) これからもこの作品をよろしくお願いいたします…! (2021年10月9日 19時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - この作品大好きです!完結するまで一生見ます! (2021年10月9日 14時) (レス) id: 5438a1cd42 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 恵野さん» 分かりました。お休みなさい。 (2020年3月31日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:恵野 | 作成日時:2020年2月17日 22時