つよさをもとめた けっか ページ34
・
『グリーンを倒した後……達成感はあったし、嬉しかった。でも、その後にやってきたトレーナーは誰一人ぼくに勝てなかった』
「……」
『ずっと勝っているうちに……何もかも、分からなくなった」
「レッド……」
『……だから強い野生ポケモンが生息するシロガネ山で、毎日強い野生のポケモンを相手にしてる』
強くなりすぎた代償と言えばいいのか。
レッドはバトルの楽しさを忘れてしまったのだろうか。
あんなに楽しそうだったのに……レッドとグリーンがバトルしている姿が何よりも好きで、見ていると引き込まれてしまうほどすごい光景で。
「……大丈夫だよ、レッド」
『……?』
「いつかレッドを倒すトレーナーは現れる。いつになるかは分からないけれど」
『……そうかな』
「そうだよ。もしかしたら、もう身近にいたりして」
『それ、グリーンのこと言ってない?』
「あ、バレた?」
だって、レッドを倒せる可能性があるトレーナーってグリーンしか思い着かないんだもの。
あっさりバレた私の考えを答えたレッドは、電話越しに溜息をついた。
『___Aは?』
「え?」
『Aはぼくを倒してくれないの?』
「……私は二人に勝てたことないし、無理だよ」
『……そうやってすぐ負けを認める』
「!」
だって、私は二人に勝てたことなんて一度もない。
そう思ってしまっても仕方ないじゃない。
『Aは弱くない。それに、トレーナーとしてはぼくやグリーンより高いと思う』
「! そんな訳、」
『トレーナーの実力は別にバトルだけじゃない。ポケモンに対する愛情、知識も実力のうちだ。特にAはポケモンに注ぐ愛情に関してはぼく達より上だよ』
「……そうかな」
『うん。だから___もっと自分に自信を持っていいと思う』
レッドに言われると自信が付いたような気分になる。
レッドとグリーンは私にとっては憧れでもあるから、やっぱり褒められると嬉しい。
「……ありがとう、レッド」
『……別に』
「またジムバッジゲットしたら電話していい?」
『……勿論』
この後、レッドとはちょっとした雑談をして通話を終了した。
……その雑談の中に出てきたもう一人の幼馴染の名前。
「……グリーン」
もう二年も顔も、姿も見ていない彼の姿を思い浮かべた。
・
384人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恵野(プロフ) - 羽月さん» コメントありがとうございます! あ、匂わせに気づいちゃいましたか? 続編の方でちょっとしたヒントを出す予定なので、宜しければどんな過去があったのか予想してみて下さい! (2021年10月9日 23時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
羽月(プロフ) - え、もうめちゃくちゃ好きです!主人公は過去に何かしらあったんだなぁ程度の匂わせで、すぐには公開しないところがめっちゃ好きです! (2021年10月9日 23時) (レス) @page50 id: 9c44afdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 黄桃さん» コメントありがとうございます! 完結なんて何十年後になるやら……(遠い目) これからもこの作品をよろしくお願いいたします…! (2021年10月9日 19時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - この作品大好きです!完結するまで一生見ます! (2021年10月9日 14時) (レス) id: 5438a1cd42 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 恵野さん» 分かりました。お休みなさい。 (2020年3月31日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:恵野 | 作成日時:2020年2月17日 22時