ほうこく ページ33
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「……またか」
ポケギアを取り出し、誰からのコールなのかを見る。
そこに表示されていたのは何度見たか分からない名前だった。
「もしもし。どうしたの?」
『……やっと繋がった』
電話越しに聞こえた声は、ここ最近聞きている声……レッドのものだった。
「ゴメンゴメン。昨日はあの後、ポケギアの電源切ってたんだ」
『……常に電源入れてること。いい?』
「はいはい」
どうやらレッドは私がシンオウ地方に一人で滞在しているのが心配でたまらないらしい。
『……ぼくも一緒に行けばよかったな』
「え、でもレッドにはレッドのやることがあるでしょ?」
『……』
あ、黙っちゃった。
ということは肯定ってことね。
「あ、そうそう! あのね、さっきシンオウのジムに挑戦したんだけど……」
『……どうだった?』
「初挑戦で勝利!」
『! ……おめでとう」
「えへへ、これもレッドの教え方が上手いからだよ!」
私にとってポケモンバトルの師匠はレッドとグリーンだ。
元々私はバトルセンスはそこまでないし、そもそもポケモンとのんびり過ごす方が好きだ。でも、ポケモンにとってバトルは切り離せないものでもあるわけで。
”ポケモンの為にもバトルの知識は蓄えた方がいい”
そう言ったのはレッドだった。
私のポケモンたちもレッドに鍛えられたと言われても過言ではないと思う。
『……そっか』
「流石チャンピオンだね!」
聞いた話なんだけど、レッドはリーグを突破してチャンピオンになったらしい。
レッドのお母さんが嬉しそうに話していたのを覚えている。
『……ぼくはチャンピオンじゃない』
「え?」
『……チャンピオンの話は断った』
チャンピオンの話を断った。
レッドの言った言葉が頭の中で響く。
「どうして……? あんなにチャンピオンを目指していたのに」
『……バトルしても楽しくなくなった』
「楽しく……ない?」
あんなにまっすぐにポケモンを愛していて、熱くて……。そんなレッドが今、バトルをしても楽しくないと言ったの?
『……知ってるか分からないけど、先にチャンピオンになったのはグリーンだ』
「!」
『その後にぼくがチャンピオンになったばかりのグリーンとバトルして……勝った』
レッドとグリーンの実力は誰が見ても高いと言うだろう。
でも、グリーンはいつも言ってた。レッドには勝てない、と。
……その悔しそうな表情を今でもよく覚えている。
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つよさをもとめた けっか→←クロガネ たんこう はくぶつかん
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恵野(プロフ) - 羽月さん» コメントありがとうございます! あ、匂わせに気づいちゃいましたか? 続編の方でちょっとしたヒントを出す予定なので、宜しければどんな過去があったのか予想してみて下さい! (2021年10月9日 23時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
羽月(プロフ) - え、もうめちゃくちゃ好きです!主人公は過去に何かしらあったんだなぁ程度の匂わせで、すぐには公開しないところがめっちゃ好きです! (2021年10月9日 23時) (レス) @page50 id: 9c44afdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 黄桃さん» コメントありがとうございます! 完結なんて何十年後になるやら……(遠い目) これからもこの作品をよろしくお願いいたします…! (2021年10月9日 19時) (レス) id: 1b995d487b (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - この作品大好きです!完結するまで一生見ます! (2021年10月9日 14時) (レス) id: 5438a1cd42 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 恵野さん» 分かりました。お休みなさい。 (2020年3月31日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恵野 | 作成日時:2020年2月17日 22時