燃える瞳とは。 ページ7
No side
中也は自室の椅子に深く腰掛け、机を見つめた。
暫くして叩敲恩が聞こえ、「入れ」と扉に向かって言う。
ガチャ、と音を立てて入ってきたのは、書類を持った紅葉だった。
「姐さん...Aは」
「漸く落ち着いたようじゃが、相当参っておる。今は鴎外殿の付き添いじゃ」
表情を曇らせ、微かに視線を落とす。
中也の横へ来ると歩みを止めた。
「あんなに取り乱したAを見たのは初めてじゃ」
「...えぇ、俺もです」
2人の脳裏に、先程の出来事が蘇った。
森のことを知らされたAは、その事を伝えに来た構成員に掴み掛り、怒鳴った。
「嘘だ」「ありえない」「あの人が簡単にくたばるワケない」「巫山戯るな」
まるで子どものように叫んで、森が倒れたことを拒絶した。
紅葉でも抑えられず、騒ぎを聞いた中也が来て「落ち着け!」とAに一発殴ったことによって漸く収まったのだ。
あの時のAの表情が頭にこびり付いて離れない。
「して、中也よ」
名を呼ばれ、顔を上げれば書類を渡された。
森の病状に関するものだった。
中身を見れば、それは『共喰い』という異能によるもので、武装探偵社の社長である福沢も同じ異能にかかっている。
解く方法は、48時間以内に何方か一方を
「糞ったれ、2日だと?」
ぐしゃっと紙を握り潰す。
隣で紅葉は眉を顰めた。
「探偵社とマフィアを潰し合わせる好計か」
「......姐さん」
中也に目を向ければ、ギラギラとした、だが覚悟を決めた瞳をしていた。
「探偵社と闘る気か?黒幕の思う壺になるぞ」
「黒幕はブッ潰します。それでも2日じゃ時間が足りない」
「じゃが__」
『その指揮、私がやる』
紅葉の声を遮った、凛とした声。
弾けたように振り向けば、Aが靴音を鳴らして此方に来ていた。
紅葉は言葉を続けようとしたが、止めた。
深い金色の瞳はとても鋭く、"決心"を宿していた。
『姐さん、さっきはすみませんでした。中也も、殴ってくれてありがとう。もう、大丈夫』
「...で、俺等は何をすればいい」
『まず全員に通信機。準備が出来たらすぐに作戦を伝える』
Aはネクタイを緩めながら言った。
帽子は、被ってなどいなかった。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時