灯の消失とは。 ページ27
樋口side
「う‶っ...」
体中が痛くて悲鳴を上げている。
耳鳴りもする。
目を開けると、濛々とする灰色の煙が天井を覆っていた。
私、なんで此処にいるんだっけ。
確か徳永さんに呼ばれて...
ついさっきの出来事が一気に頭の中を駆け巡った。
___『来るな!逃げろ!!』___
勢い良く上半身を起こした。
私がいるのは廊下だった。
辺りに小さな瓦礫や硝子の破片が散らばり、壁は所々黒く煤けている。
数m先にある徳永さんの部屋を見るが、扉は無いと言っていい程でコンクリートの壁が半壊していた。
中はもっと酷いだろう。
ふと自分の身体を見下ろす。
目立った外傷は無く、強いて言えばかすり傷くらい。
つまり、ほぼ無傷。
私は扉の前にいて、今廊下にいるってことは吹き飛ばされた。
なのに無傷なのはおかしい。
...真逆、
「あの一瞬で、徳永さんが異能を使った...?」
思わず呟いた。
でも、そうだとしたら辻褄が合う。
じゃあ、徳永さんは......?
嫌な予感がして、立ち上がって部屋に駆け込む。
セキュリティの御蔭で火は消されていた。
けれどいつも書類が貼ってあった壁も、ソファも、長机も、何もかもが黒くなっていてほぼ破壊していた。
顔から血の気が引いていくのが自分でも判った。
「っ徳永さん!何処ですか!!」
こんな状態じゃ、最悪...
何処からか呻き声が聞こえてきた。
直ぐにそっちに向かうと、天井まであった本棚が床に倒れている。
その下に、下敷きになっている人がいた。
「徳永さん!!」
急いで近づき、しゃがんで姿を見れば頭から血が流れていた。
他にも力なく床に着く腕や見える上半身のシャツにも血や傷が目立つ。
本棚を持ち上げようと試みても、私の力じゃできなかった。
「直ぐに人を呼んできま__」
立ち上がろうとしたら手首を掴まれた。
「とく、ながさん?」
『はは...やられた。真逆爆弾と樋口ちゃん使われるなんてね』
顔だけ見えた徳永さんは力なく笑っていた。
「っ...すみません、私のせいで」
『樋口ちゃんのせいじゃない、見抜けなかった私の
深い金色の瞳が真っ直ぐ私を見た。
それはとても真剣な眼差し。
でも浮かべる笑みはとても優しかった。
『首領を、リンタロウさんを、頼むよ』
そして私の手首からフッと力が消えた。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時