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｢……なるほど、納得です｣
｢お前なら上手くやれるだろう。いや、お前以外に適任はいない。この依頼、引き受けてくれるか｣
もうひとつの理由、それを聞いてようやく突拍子もない依頼に合点がいった。それだけなら蹴ってやるつもりだった。しかし彼が提示した"報酬"に私の目の色は変わる。多少の面倒を我慢すれば喉から手が出る程に欲するものが手に入るのだ。首を縦に振る以外に選択はなかった。
｢⎯⎯⎯いいでしょう。ご依頼、承りました｣
そうして私はグルッペンと契約を結び、トントンさまの専属メイドとなった。他人の世話なぞ何にも楽しくない、しかし報酬のためとあらば身を粉にして尽くしてやろう。私にとってこの契約から得られる物はあまりにも大きい。
＊
何せ急な話であったから、手をつけていた仕事を終わらせる事に時間を使ってしまいろくに準備も出来ないまま初日を迎えてしまった。顔合わせを終えた後はグルッペンから貰った前金で一日買い物をし、借りたゲストルームを整え、気づけば夜だ。
｢地下に比べれば随分と住み心地が良いだろ｣
｢……そんなの当たり前ですよ、グルッペンさま。だってここは眩しい太陽の昇る地上ですもの｣
｢様、なんてやめろ。昔のままでいい｣
｢……｣
無断で部屋に足を踏み入れたグルッペンが扉に寄りかかって可笑しそうに笑っている。雇用関係にあるとしても彼が憎っくき男であることは変わらない。早く出ていけ、とばかりに睨んでやるも、彼は涼しい顔をして余計に笑った。
｢なあ、A。懐かしいだろう？｣
｢……昔のことは忘れました｣
｢忘れられないこともある。だからお前は俺と契約を結んだ｣
｢そりゃ、そうです｣
｢⎯⎯⎯おかえり、A｣
酷く穏やかな声で言う彼に目を見開く。おかえり、なんて。そんな言葉は聞きたくない。どうしてそんな平然とここにいられる。どうして笑っていられる。私はこの屋敷に来てグルッペンの正気を疑っていた。信じ難い。私はずっと、ずっと、あの日を許せないでいるのに。
｢違う。ここは、私の帰りたい場所じゃない｣
もう一度睨めば、彼は大袈裟に肩を竦めて苦笑した。床に落とされた睫毛が何処か寂しそうに瞬いたのが見えたが、そんなもの、気のせいだろう。
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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