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朝食のパンケーキは焦げていたし、掃き掃除をすれば執務室に積まれた書類をぶちまける。洗濯物のついでだとか言ってわざわざ窓の外をロープを伝って降りて俺の様子を伺いにくる普通のメイドらしかぬメイドは正直言って喧しいし、鬱陶しい。
｢見てください、メイド長からお花を頂きました｣
｢……で？｣
｢ここに飾ります。書類ばかりじゃ気が滅入るでしょう？｣
昼時のこと。提案も無しに実行に移した彼女は両腕に抱えた鉢植えを日当たりの良い窓際に置いて｢うん、華やかです｣なんて満足気に笑った。鉢植えから生えているのは開花前の蕾で、俺の目には対して華やかには見えないが。
こんな事で一々筆を止めてはいられない。昨晩の彼女の要らない気遣いのせいで仕事が溜まっているのだ。すぐに鉢植えから目を離して仕事に戻ると、しかし彼女は知ったことかと語りだす。
｢何が咲くと思いますか？｣
｢……｣
｢ま、私も知らないんですけど｣
知らんでもらったんかい、というツッコミは心の中に留める。
｢……太陽の光を嫌ってほど浴びて、更に人の手を借りて元気に育つなんて。この花は贅沢者ですねぇ｣
いいな。 やけに小さい声がそう言った時、思わず背後の窓際に立つ彼女の横顔を見た。
彼女は花を見ていなかった。見上げていたのは眩しい太陽で、日に焼けることを知らないような白い頬に反射する陽射しが眩しくて目が細まる。
｢……地下街で暮らしとったんやっけ｣
｢え？ あ、はい｣
｢じゃあ、太陽は物珍しいんか｣
手は止めないが、話しかけてしまった。そんなつもりはなかったのに。何となく太陽を見つめる横顔がもの寂しげに見えて、いつもの覇気を感じないから口を開かずにはいられなかったのだ。
｢いえ、割と長い間地上でも暮らしてましたしそんな珍しいもんじゃあないですよ｣
｢そ、そか｣
｢まあ、ただ。地上に滞在するのは久しぶりです。……太陽に焼かれると、まるで故郷に帰ったような気になって…んはは。これは失言です。地下のドブ鼠はお天道さまに嫌われてるってのに｣
そう、だろうか。
｢……あんたには太陽が似合うと思うけどな｣
口から勝手に出た言葉に気づくのは数秒の沈黙の後。何言っとんのや、俺。なんて後悔し始めた時には彼女の｢ちょっと、照れますね｣なんて言ってはにかむ顔を見ていた。
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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