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｢トン氏とは上手くやっていけそうか？｣
大人しく眠るのかと思えば、そんな問いかけ。無視してもよかったが、気紛れに答えを返す。
｢……さぁ。ちょっと頑張り屋さん過ぎるな、という程度で、君ほど厄介そうには思えないので何とかなるんじゃないですかね｣
｢そうか。まあ、少々取っ付き難いかもしれんが悪い奴ではない。あいつの事は頼んだぞ｣
｢ええ、報酬がかかっていますから｣
今のところ嫌われる要素しかないように思うが、あれが私なりに精一杯考えた末の行動なので大目に見ていただきたい。責めるなら契約時に｢大怪我をさせなければ何をしてもいい｣と言ったグルッペンを責めてくれ。
そこで会話が途切れ、再び静かな夜に包まれる。それが眠気を誘って欠伸をひとつ零せば、段々と脳が思考を止めて、背後に寝転ぶグルッペンが気にならなくなってきた。
｢A｣
と、いうところだったのに。名前を呼ばれ、これは無視でいいやと反応を返さないでいれば、不意に肩を掴まれぐっと身体をひっくり返された。驚いて見開いた目に映るのは、月影でぼんやりと照らされた天井と、嫌に発色する灰青色の双眼。グルッペンがどうしてか身を乗り出し、上体だけ私に覆い被さってそこにいた。
｢……な、んですか｣
｢まだ、消していなかったのだな｣
｢っ、！｣
するりと細い指先が首元をなぞり、着ていたワイシャツの襟が捲られる。隠れていた刺青が顔を出し、射抜くようにそれを見る彼の視線が何だか痛くて顔を背けた。
｢……刺青ですし、簡単に消せるわけないじゃないですか｣
｢ふ、そうだな。しかし、……とっくに消えたものかと思っていた｣
何を思ったのか、グルッペンが刺青の上にそっと唇を寄せてキスを落とす。何をされたのか、感覚はあっても理解が追いつくまでに数秒と時間を要した。気づいた時にはもう彼は私の上から退いて、ごろんと隣に寝転がっていたから引っぱたいてやるタイミングを逃してしまった。
｢ほんとに、昔っからよく分からない人ですね、君は｣
｢よく言われる。……おやすみ、A｣
｢……おやすみなさい｣
グルッペンが背を向けたから、私も再び背を向け目を瞑る。明日はトントンさまに、謝らなくっちゃ。許してもらえるだろうか。朝ごはんはちょっと甘いパンケーキにしてご機嫌をとってみよう。
なんて、明日の事を考えて眠る夜は、なかなか悪くはない。
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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