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｢いっ、犬！ 犬を！ 遠ざけろお願いですから！｣
｢可愛ええやろが。イフリート、挨拶してやれ｣
｢わんっ｣
｢うああぁっ！？｣
やわい肉球が頬に押し付けられると同時に勢いよく顔を逸らしてゾムの腕にしがみつく。｢なんやお前、犬嫌いなんか｣と言う彼の声色に若干の愉快さが混ざっていたように感じたのは気の所為であってほしい。
｢屋敷で暴れた罰だ。大方、トン氏を限界まで疲労させて眠らせてやろうという魂胆だったのだろうが、どったんばったん喧しいんじゃボケ｣
｢ご、ごめんなさい！｣
｢なーんや、そういう事か。攻撃してすまんかったな｣
｢謝らないでいいですからゾムは退いてください！｣
｢ええ、どうしよ？｣
ダメだこいつら！ 犬を前にビビり散らかす私を見て完全に楽しんでいやがるようで、ふたりして口元をにやつかせていた。白い犬は犬でグルッペンに抱えられながら伸ばした短い腕で私の顔面をふみふみし続けている。
いっそ気絶してしまおうか、そんな事を考えながらもこの場にいるはずのもうひとりに助けを求めた。
｢っと、トントンさま助けてください！｣
｢ああ、あいつならお前の思惑通り、さっきそこでぶっ倒れたゾ｣
｢はっ！？｣
｢熟睡やな｣
さっきから声が聞こえないと思えば、何とタイミングの悪いことかトントンさまはその辺で眠りこけているらしい。確かに体力を削りきって強制的に眠らせてやろうという計画ではあったが今ばかりは起きていてほしかった…！ 助けていただけるかはさておき。
ゾムがのそのそと私の上から退いた瞬間、慌てて顔面を踏む無礼な犬から床を後退って距離をとる。そうして数歩分動いた時にズキン、と頭蓋に鋭い痛みが走り、こめかみの辺りからつぅ、と液体が伝う感覚がした。
｢あ、れ？｣
｢あちゃあ、頭割れたんとちゃう？ 血が出とるよ｣
｢……だ、誰のせいだと…｣
｢紛らわしい事しとったあんたが悪いわ｣
ゾムの言葉に否定もできず押し黙る。途端に重さを増した身体に引き摺られるように床へ倒れ込めば、呆れて笑うグルッペンが犬をゾムに預けて私の傍にまたしゃがみ込んだ。
｢先が思いやられるな。ゾム、トントンを回収してくれ。Aは俺が運ぶ｣
｢ええ、コイツ重いから⎯⎯…｣
ふたりの声が遠くに聞こえるようになって、視界も次第に黒が侵食していく。そんな気絶寸前のところ、最後にグルッペンが私を抱きかかえた感覚だけが残って、私は意識を手放した。
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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