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隙があれば私は拳を振り翳す。隙があれば彼は再び私を転がしてやろうと掴みかかる。そんな攻防が十分程続き、優劣がはっきりと目に見えた。
｢っ、は、あんた、ほんまに何がしたいん…！？｣
｢私はただ純粋に、メイドとしての業務に勤しんでいるだけ、ですよ！｣
｢主人に向かって拳振るメイドがいるか！？｣
｢ええ、残念ながらここに！｣
振り翳した拳がトントンさまの手のひらにパシンッと小気味の良い音と共に収まる。しかし、ぐっと押し込んでやれば思った程の抵抗力はなく、押し返される前にふらり、彼が身体ごとよろけた。
良い塩梅か、彼の疲労は限界だ。最後に我儘なご主人さまへ頭突きのひとつでもくれてやろう。そう思って彼の首元を掴んで引き寄せた⎯⎯⎯その時だった。
｢トントン。こいつ、敵か？｣
｢⎯⎯⎯ッうそ、｣
｢敵、やんな？｣
まさかまさか、私が、すぐ側に立つ気配に気づけないなんて。
第三者の声、それは耳元にあった。そいつの顔を目で捉えるより速く、よりにもよってレディの顔面を鷲掴みにしたその男は僅かな迷いもなく敵と認識した私を地面へ真っ逆さま、叩きつけた。
ごうん、と揺れる脳。割れるような痛みが走り、見上げる天井にチカりと星が瞬く。⎯⎯⎯また、また、転がされた。私が、二度も。
｢ふは。随分やられたみたいやなぁ、トントン。鼠一匹に手間取るとか、引き篭ってばっかで身体鈍っとるんちゃうか？｣
｢ぞ、ゾム、｣
｢んあ…？ 助けてやったっちゅうのに何でそんな変な顔すんねん｣
｢お前、そいつはグルッペンの⎯⎯⎯｣
｢ってえな……こんのダボが｣
｢お、？｣
トントンさまが言わんとした言葉を聞かせる前に、第三者の男の片脚を蹴り払う。勿論それはジャンプひとつで容易に躱されたが、私は、ただの平凡なメイドじゃあない。
転げたまま下半身を捻り、二撃目の蹴りを滞空中の男の膝裏へすかさず撃ち込んだ。その素早さといえば、常人であればまず目で追うことの出来ないものだっただろう。しかしその男は違う。アレも、私と同じイカれた人間だと、私を見下ろした翠瞳を見て理解した。
｢口が悪いで、お嬢ちゃん｣
あ。私、こいつに勝てないや。脳が答えを見つけた時にはもう、倒れ込むはずだった男は何故か私の仰向けに転がされた身体に馬乗りになって牙を剥いていた。
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紫紅兎(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラがちょうどいい感じに濃くて素晴らしいですね！tntn様との絡みも大変微笑ましいです…過去に何があったのかも楽しみで色々考察しちゃいます、読むたびにマフィアパロって良いなぁと堪らなくなります、更新楽しみにして待ってます (2021年7月3日 1時) (
レス) id: fcae62d2ac (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - あの………語彙力ないので簡潔にまとめるとですね……………とっっっっっても好きです。 (2021年5月27日 19時) (レス) id: 19366b94fd (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - ヤベェおもしれぇですよ(？)更新頑張って下さい！！！！好きです！！！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: fa1fb43e66 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 夜空さん» 夜空さん、ｺﾒﾝﾄありがとうございます~~！ かなりｷｬﾗが濃い夢主ちゃんなので尊いとまで言っていただけてとっても嬉しいです！ ゆっくりではありますが更新がんばります~~！ (2021年5月16日 20時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - ゆゆゆゆゆ夢主ちゃんが尊い(*´ω｀*) そうゆう性格の女の子の方が私は好きだよ←(何目線??)更新頑張って下さい!!!!! (2021年5月15日 17時) (レス) id: 947663e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
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