難解な恋の答え ページ46
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｢トントン、起きて｣
｢っ、ちょ、…なんやねん、……｣
｢どうしてあの日、私の気持ちを勘違いだなんて言ったの｣
夢から醒めて、真っ暗な部屋で勢いよく身体を起こして三秒。私はいつも通り敷布団で眠っているトントンの身体へ馬乗りになって彼の肩を遠慮なしに揺さぶった。今は深夜だろうが、どうせ今日は祝日なのだなら構うものか。
｢なんのはなし、？｣
｢高校生の頃。私、ぜんぶ思い出したの｣
｢……ああ、｣
無理やり叩き起されたせいで不機嫌そうに歪んでいた顔がほんの少し緩む。
｢幼馴染としてお前が好きなのか、そうじゃないのか、区別がつかんかってん｣
｢……｣
｢それなのに付き合いの短いグルッペンははっきり口にしたやんか。それが心底悔しかった。そんで、…まあ。高校生やし今よりずっと感情的やから半ばやけくそでAの気持ちを否定した。後になって死ぬ程後悔して、そこでやっと気づいたんや。…何がとはまだ言わへんけど｣
ほんまにごめん、と寝起きの掠れた声で小さな謝罪。別に私は怒ってなんかない。いつだって傍にいた私たちだ。恋というものは大人になったって上手く理解できないものなんだから子供の私にも、トントンにも、そりゃあ難しいものだっただろう。近くに居すぎたから余計にね。恋を教えてあげる、なんて言いながら私だって知らなかったんだ。
｢……ね、トントン。私はあの頃の気持ちも思い出したよ｣
｢……今も変わってへんって信じとるよ｣
手を繋いだ時も、キスしてみようとした時も、胸が痛いって泣きそうなくらいにドキドキしてた。それがどうしてか、分かったの。負けたくない一心で理由を否定していたけど、とっくの昔から負けていたんだからもう、認めてしまいたい。
君が私を拒絶するのは、彼が高校生の時に仕掛けた勝負があったから。私にもう一度好きって言わせる、なんて。私はすっかり忘れていたのに未だ負けじと維持で頑張ってた彼がちょっとだけ可愛く思えてしまった。じゃあ、さ。君の気持ちもまだ、変わってないって信じていいんだよね。
｢引き分け、で手を打たない？｣
｢というと？｣
｢せーの、で敗北宣言。仲良く二敗ずつで、馬鹿げた勝負を終わりにするの｣
｢……ふは、悪くないな｣
いや、大人になって振られた私は一敗多いか。でも大人だから目を瞑ってあげる。ふたりで素直な気持ちを吐き出して、長かった意地の張り合いに折り合いをつけてしまおう。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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