怠惰が招く ページ4
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自然に瞼が押し上げられた。自分の部屋でないのに見慣れた白の天井。視界の端に差し込む眩しい朝日。ヒリヒリ痛む、目元。
昨晩、結局私は寝落ちてしまったらしい。それなのに私の体を包むのは柔いベッドの温もり。ああ、心底迷惑に思いながら私をここへ運んだであろうトントンの顔が容易く想像出来る。
｢……お、｣
何となしに寝返りをうてば、ベッドの横、床に敷かれた布団に眠るトントンを発見した。傍に転がる時計はまだ朝の七時を指している。休日だと言うのに、早起きをしてしまったようだ。
ごろり、うつ伏せになってトントンを見下ろす。あ、そんな眉毛きゅっと顰めて。私にベッドを取られたのがそんなに悔しいか、ざまあみろ。
｢トントンだって結構、あほづら……｣
なんてくすくすひとりでに笑っていれば、ふと違和感に気づいた。ああ、眼鏡だ。トントン、眼鏡かけたまま寝ちゃってる。
私は優しいので。さぞ寝づらかろう、とベッドの上から腕を伸ばした。ぷるぷる、指先を震わせながら微妙に届かない眼鏡へ。
｢ぐ、届かん、はらたつ｣
素直にベッドから降りたらいいだけなのだが、如何せん私は面倒くさがりで。何とか体を起こさないままそれを取ってやろうと左手を床につき、右手を伸ばし⎯⎯⎯
｢あだっ、！？｣
ずるり、ベッドから転がり落ちた。いやあほ、私のあほ。だからいつもトントンに馬鹿にされるのだ。でもしょうがない、寝起きは誰だってベッドから抜け出したくないものだ。
落ちた拍子にぶつけた片肘を擦りながら、ようやく手が眼鏡を捕らえた。ふん、私の手を煩わせやがって。なんて心内で勝手に文句を垂れていた時。
｢……な、に……しとんの｣
｢ヒョッ｣
かちり、近距離で真っ赤な瞳と目が合った。
ついでに素っ頓狂な声が漏れた。
｢べ、べべ別に、寝込みをどうこうしようなんて思ってないから自惚れんなばあか！｣
｢なんも言ってへんし朝から喧しい……ああ、眼鏡したまま寝とったんか、｣
眼鏡に触れていた指先が、起きてしまったトントンの手によってぱっと払われる。起きてコンマ一秒、目前に女子がいると言うのに顔色ひとつ変えずに、あまつさえ振り払うなんてこの男、生かしちゃおけない。
｢少しくらいさ、私にこう、どきっ！？とかしないの？顔真っ赤にするとかさ、｣
｢なんで？寝起きにお前の顔なんて嫌ってほど見とんのに今更やろ｣
｢そうじゃなくてさあ！｣
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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