恨みの矛先 ページ18
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すぐにトントンの腕は解けた。そうして｢風呂、入りや｣と一言添えた彼に慌ただしく浴室へと押し込まれ、私は状況を理解する前に流されるままシャワーを被ることとなった。
ぼやっとしていた頭がいくらか、冴えてきた。同時にグルッペンのとった行動の物珍しさにようやく気づいて首を傾げる。昔、生きた女に興味はないだのなんだのと抜かしていたあのグルッペンも人並みに戯れを求めることがあるのか、と。
酔った勢いというのは恐ろしい。そんな彼の思考すらおかしな方へと向かせてしまうのだから。……おや、と更に反対へと首を傾げる。
酔った勢い、か。成程、妙案だ。酔いはほんの少し覚めているが、酔ったフリなどをしてみるのもいいかもしれない。
｢とんと〜ん、おふろでたよ｣
｢ん。なら寝ろ、今、すぐに｣
濡れた髪のまま寝室へ行くと、トントンはいつものようにベッドの隣に敷布団を置いてそこに寝転がっていた。うつ伏せのままスマホを弄っていてこちらに目もくれない。
｢ねむくないよ、構って｣
｢は？、ッつめた、｣
｢まだじゅうじ、寝るにははやい。ね、とんとん｣
私はトントンの隣に飛び込み、そうしてぎゅうっとトントンの身体に抱きついた。いつもよりたっぷり甘い猫なで声は自分で聞いてて寒気がする。肩口に擦り寄れば濡れた髪が彼に触れたらしい。｢おい、｣と低い声がして、私の頭はぐぐ、と大きな手に押された。
｢やめんかい。変な声出すな引っつくな。酔ったフリなんてしたって俺はなんもせえへんぞ｣
｢……は、はぁ？ふりなんてしてないもん｣
｢あほ、お前の考えとることなんか丸わかりや｣
｢んがっ｣
ぎゅむっと鼻先を摘まれ、更にはぺしんと額を叩かれた。酷い。キッと睨みつけた先にはなんだか困ったように笑うトントンがいて、思わず抱いていた腕から力が抜ける。なに、その顔。嫌なのか、嫌じゃないのか、わかんないじゃんか。
｢……据え膳食わぬは男の恥ってしらないの｣
｢さっきラーメン食いにいってん｣
｢うん？｣
｢腹いっぱいやから据えられても一ミリも食う気がせえへんわ｣
｢…………キレ散らかしそう……｣
｢その前に髪乾かしたら？｣
私はラーメンを恨めばいいのだろうか。それとも、魅力のない自分だろうか。そのラーメンだって、きっとさっきの可愛いあの子と食べに行ったんでしょう？ 悔しくって、なんだかまた気分が落ち込んできた。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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