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「そういえば来週の日曜暇?」
お風呂から上がり飲み物を煽る研二は突然思い出したかのように切り出した。
「暇だよ。何か用事?」
「俺ん家で鍋パしようって」
キーボードを叩きレポートを作成する私のお腹に腕を回し後ろから抱きしめるように座った研二の頭が肩口に乗せられた。
ふわりと香ったシャンプーが鼻腔を擽る。
「他に誰かいるの?」
言い方が引っ掛かりパソコンの画面から目線を外さないまま聞くとグリグリと額を押し付けられる。
「警察学校のときの同期なんだけど、わかる?」
「よくやんちゃしては一緒に怒られた仲間たち?」
それそれと顔を上げて笑う研二。
「そいつらと久しぶりに集まろうぜーって話になって。もうすぐ研修も終わるし」
「…そしたら私いない方がよくない?」
研二からはよく悪友的な同期の人たちの話を聞いていた。
男同士の関係性は女の私にはわかりかねるが、それでも話を聞く限りすごく仲がいいんだなぁと思っていた。
そんな人たちと久しぶりに会うならどちらかというと私は邪魔なのではと率直に思った。家族水入らずみたいなことで。
キーを打つ手を止めて抱いた疑問そのまま真横の研二に向けると至近距離の柔らかい表情と目が合った。
「Aに会ってみたいんだって」
「えー…私めちゃくちゃアウェーじゃない?」
「んー」
戯れるようにちゅっちゅっとしつこく頬に落とされるキスの雨から逃れるために身を捩ると研二の唇は次に髪を標的にした。
「んーいい匂い」
「研二も同じ匂いだよ」
適当に一束掬い唇を寄せ離してはまた一束掬いの繰り返し。
ハラハラと何度も落ちる髪の毛を少し鬱陶しく思いつつパソコンに向き直り作業を再開する。
「無理にとは言わないけど俺的には来てほしいなー」
「んー…」
「気乗りしない?」
「いや…ノリがいいタイプじゃないから気使わせて場の雰囲気盛り下げちゃったら申し訳ないなぁって」
私なりの不安を吐露すると一拍置いて研二は笑い飛ばした。
「そういうの気にするような奴らじゃないから大丈夫!」
「そう…?」
多少なりとも研二が話してくれた人たちに興味はあった。そして彼らの口からあわよくば私の知らない研二の話を聞けたりなんて期待も。
「…じゃあ行こうかな。お誘いしてくれてるみたいだし」
私の返事に研二は満足そうに頷いた。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時