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無理だ。そう思った。
「むっ……むり」
思ったそれは無意識に口からポロっと零れて、
「あ、なんで下向くの」
「…っむり」
可愛いと言われて反応した顔の色を見られたくなくて。愛しいとでも言ってるような細められた双眸から逃れたくて。
俯いた。
「何が無理？」
ふはっと小さく笑った萩原は楽しそうに繋いだ手をぎゅっぎゅっと握ってくる。
…無理だ。無理。無理としか言えない。何もかも、無理。無理という単語で頭が埋まる。
この雰囲気も萩原の視線も余裕そうな態度もこちらの反応を面白がる言動も痛いくらい強く鳴る自分の心臓もコントロールできない体の熱も。
この状況取り巻く全てが今まで体験したことのない初めての事だらけで頭が爆発しそう。
否、した。
「むっ…むりむりむりむりむりむり！」
著しい語彙力の低下。恥ずかしさでキャパオーバーした脳みそ。もう訳もわからず無理としか発せられなくなった。加えて壊れた首振り人形のごとくぶんぶんと首を振る。
「あっははは！壊れた！」
「むり！ほんと無理！手！離して！」
「やだ〜」
泣きべそ掻きながら懇願する私とは対照的に大笑いをする萩原は変わらず手を握ったり、指先で手の甲や指の一本一本をなぞったり、
「…！」
…指先を、絡めたり。
「ふ、顔真っ赤」
「…見ないで」
「…どきどきする？」
当たり前だ馬鹿。
などとは当然言えずできるだけ顔を見られないように俯いたまま小さく頷く。
「さっきまで余裕そうだったのに」
「…あれは、その…」
照れ隠しというか。強がりというか。自分が優位に立つことで恥ずかしさを隠せるんじゃないかと口が回ってただけで。
とこれまた当然言えるわけもなくもごもごと言い淀んでいると
「うん、ごめん」
繋いだ手が柔く引っ張られ思わず顔を上げる。
「俺ばっかドキドキしてんのかと思って意地悪しちゃった」
壊れ物でも扱うような優しい手付きで包み込まれる私の手は萩原の頬に導かれていた。
「は、ぎわら」
「んー？」
まるで見せつけるように手の甲に頬を寄せてとぼけた表情で聞き返す目の前の男は完全に面白がってると思う。
三日月に細められた瞳がそう物語っている。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (
レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます！ (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー！とっても素敵ですね！ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かものはし子 | 作成日時：2019年5月16日 3時
