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「いや、ん?じゃなくて…」
何がそんなに楽しいのかニコニコニマニマ。
「視線気になるからテレビ見ててよ」
「えー、やだ」
やだって。
変わらない満面な笑みであっさり頼み事を却下されて少し不満になる。
「見られてると集中できない」
「見てない見てない」
「見てるじゃん」
なんだか平行線になりそうだから文句を言いつつもとりあえず視線を課題に戻し進めることにした。
見えないけどたぶん萩原はずっとニコニコしてるんだろう。時々楽しそうな鼻歌がワンフレーズ聞こえてくるのがその証拠だ。
「我儘言ったのは私だけどさ、暇じゃないの?」
「ぜんぜーん」
「んー…」
そうは言ってもやっぱり申し訳ないという思いがあり猛スピードで課題を終わらせにかかる。
「んふふ」
「…何その笑い」
ガリガリとペンを走らせながら目は文字を追って。
「勉強してんなーって」
「んー」
「大学ど?」
「ふつー」
「イケメンいた?」
「んー」
頭の中は課題についての物事だけで埋まってる。この状況で大学にイケメンいたかな〜なんて顔が思い浮かぶはずもなく適当な返事になるのは仕方ない。
けど萩原を蔑ろにして頭と手を動かし続けた甲斐がある。
「終わったー!」
思いの外早く課題に蹴りがついた。萩原に見られながら課題をやり続けるのが嫌だったというのも早く終えられた理由の一つ。
「お、早いじゃん。お疲れー」
「萩原にずっと見られ続けるの嫌だもん」
広げられた教材やらプリントをまとめながら課題が終わった自由の身を痛感しこの後はどうしようかと考える。
「萩原が買ってきてくれたお菓子食べる?あ、でも案外早く終わったし出かける?」
とりあえずレジ袋をガサゴソさせてお菓子を机に並べていく。
「あ、これ好き」
「それ俺も好き」
「期間限定の味多くない?」
「ついつい買っちゃう」
「わかる」
自分の家。落ち着く空間。ゆるゆると会話に付き合ってくれる落ち着く話し相手。前から決まっていた今日の予定。前日になっても片付けかなかった課題。やり終えてなくなった柵。
なんとか予定通り会うことは叶ったものの少しでも長く課題ではなく萩原と話をしたいその一心で前日遅くまで少しでも課題を減らしておこうと取り組んだ結果。
「ねー萩原くん」
「はい?」
「眠くなってきた」
今まさにお菓子を放り込もうとしていた手と口は止まり目だけが大きく見開かれた。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時