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important:1*思い出 ページ21




「ねー髪ゴム持ってない?」


高三に上がってから二ヶ月くらい経った頃。同じクラスの少し髪の長い男子に話しかけられた。


「や、持ってない」

「そっか〜」

「縛るの?」


初めて話すのにすごい自然体だなと思った。コミュ力が高そう。たしか萩原って名前だった気がする。


「体育のとき縛れーって言われるんだよね」

「あー、次体育だもんね」

「そー。でも忘れちゃって」


項垂れる萩原くんには申し訳ないけど私も持ってないからそっかーと同調するくらいしか出来ないが

「あ」

ふとある存在を思い出した。


「え!もしかして持ってましたパターン?」


期待が乗った声にちょっと待ってねと静止をかけつつ自分のペンケースの中を探りすぐに見つかったそれを差し出した。


「輪ゴムなら持ってる」


まあ、冗談。

萩原くんはなんか話しやすいからちょっと軽い気持ちでふざけてみた。


一瞬だけ固まった彼はすぐさま顔をくしゃっと綻ばせた。


「あっはは!いらね〜!」


輪ゴムをつまみ上げヒラヒラさせる。


よかったよかった。笑ってくれて。こいつ何言ってんだみたいな目されたらめっちゃ辛いもん。


そんなわりと豪快に笑ってる彼につられ私もちょっと笑ってしまう。


「ごめん、ちょっとふざけた」

「もう時間ないしこれでいっかな」

「いやいや、やめなよ」

「くれたの吉岡さんじゃん」


二人で笑いながら廊下を進む。

体育の授業は男女別だからそれも途中までだけど。


「んじゃ。輪ゴムありがと」


そう言い慣れた手つきで髪を束ねた萩原くん。


「うわ。本当に縛った」

「ドン引きしないで?」


じゃあね〜と手を振ってさっさと彼は下駄箱のほうへ行ってしまった。

頭の下の方でまとめられた髪がぴょこぴょこ揺れていてなんとなく可愛いなぁと思った。


にしても輪ゴムで縛るとか雑すぎじゃないか?…渡したのは私だけど。


男子ってそんなもんなのかなと視線を動かしたら時計が目に入り始業チャイムの時間が迫っていたので慌てて体育館に走った。

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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時

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