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下の名前はわからない。
…というか、口に出しておいてあれだが名字が合ってる自信もなくなってきた。
でも確かに見覚えがある。彼とは昔会ったことがあるはずだ。
不思議そうな顔をする彼と私はどこで会った?
ふるや…フルヤさん…降谷…
記憶を引っ張り出そうと無意識に凝視してしまい「えっと…」と彼は頬を掻きつつ困ったような笑顔を見せた。
そのとき。
「安室さーん!」
少し離れた席で教材を広げる女子高生が誰かを呼んだ。
けれど瞬時に自分には関係ないことだと判断し目の前の彼と自分の記憶に集中を戻したが
「あ、はーい」
「えっ」
返事をしたのは目の前の彼だった。
思わず声が詰まって出る。
……安室?
降谷さんじゃない…?
降谷じゃなくて安室…?
「あの、では…注文が決まったら呼んでくださいね」
「あ、えと…人違い、しました、すみません」
きっと呆けた顔をしているだろう私ににこっと笑顔を向け、彼は女子高生たちのほうへ行ってしまった。
……人違い。人違いだったのか。
うわぁ…穴があったら今すぐにでも入りたい……恥ずかしすぎる…。
メニュー表で恥ずかしくて死にたくなってる気持ちと顔を隠してみるがさきほど彼の顔を凝視したことを思い出してさらにメニュー表に顔を埋めた。
…最初に降谷って呼んでも反応なかったもんね。
むしろ何言ってんだこいつみたいな顔してたし。
全然知らない人に全然違う名前で呼ばれたらそりゃ不思議な顔するよ…うわあ本当に申し訳ないことをしてしまった。絶対変な客来たと思われてるよ………ツライ。
でもご飯食べたいから…と恥を忍んでさきほどの安室さんを呼びカレーライスとオレンジジュースを注文すると
「かしこまりました」
お待ちくださいととても良い笑顔を向けてくれた安室さん。
嫌な思いをさせてしまって申し訳ないともう一度心の中で謝罪をした。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時