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人々の喧騒も、笑い声も、温度も、匂いも何も感じられないくらいバクン、バクン、と波打つ鼓動と
未だ繋がれた右手はあまりにも熱くて、優しくて
うわ、どうしちゃったんだろ、私
「チャニョン、」
『…ごめんなさい、なんか…悔しくて』
「悔しい……？」
『……友達、じゃないの？僕たち。』
チャニョンは大きな身体を折り曲げて、何十センチも低い私の顔を覗くように見てくると、文字通り純粋無垢な瞳は私の少し紅く染った顔をとらえた。
いつもより近くなった顔と顔の距離に思わず目を逸らしてしまう。
「友達、です」
『ほんと？』
「うん、本当」
『なら目、見て言って？』
普段ならポソポソと小さくて聞こえにくい声も、今は特段とハッキリ聞こえてきて、
「友達、です」
チラリと目を合わせそう答えると、チャニョンは満足そうに口角を上げた。
『やった、今日から友達ね』
繋がれたままの右手をむにむにと優しく握るチャニョンが
今日は何故か一段と輝いて見えた。
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「あのー、お取り込み中失礼します」
「うわっ、なに……って、ソンチャンか」
またしもいつから居たのか、背後からぬらりと現れたソンチャンに心臓がまろび出るところだった。
「なにってこっちのセリフだしㅋㅋ そんな手とか繋いじゃって」
「語弊です。友達なんで」
「ふーん、なんでもいいけど。暇なら俺のとこのだし物来てよ」
「何やってるの？」
「まあ来たらわかるよ。チャニョンもいいでしょ？」
『まあ、いいですよ』
ソンチャンは私とチャニョンのあいだに割り込みがっちりと肩をホールドすると、ほぼ誘拐と言っていい程強引に私たちを誘導した。
自然と離れた手がまだ熱を帯びていて、チャニョンの骨ばった手の感触も、その手の温度も、力加減も覚えていて
しばらく心臓は鳴り止むことは無かった。
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作者名：天然水 | 作成日時：2024年2月18日 23時
