シークレット・メモリー

５：ペアリング。 ページ5

.




“ 俺、Aの事すげー好きだわ ”









久しぶりに見た、宏光の夢。






いつの日か、眠りにつく前に
不意に伝えてくれた 好きって言葉。






あまり、宏光は好きだとか口にしてくれないから

凄く嬉しかった。







今でもその日のことを思い出すと


幸せな気待ちになって心が満たされる。








宏光はたくさん私を愛してくれたから


今度は私がその愛をこの子に伝えていくよ。









段々と、涙を流すことは少なくなって



もう、宏光と離れて１ヶ月が経とうとしていた。









そして妊娠が分かってからはもう3ヶ月。

少し大きくなったお腹。


本当にここに赤ちゃんが居るんだって
不思議で仕方ない









体に変化が出る前に、


宏光と離れる事を決意したけど
本当はもっとギリギリまで一緒に居たかった。









だけどもっと･･･もっと･･･ってなる度に


きっと余計辛くなるはずだから


早くに離れて正解だったね









テレビを付ければたまたま歌番組に


宏光が出ていて


心が痛めつけられるほどに会いたくなった。





久しぶりに画面越し見た宏光は


少し痩せていて･･･髪色が明るくなってて


悔しい程かっこよくて




やっぱり私は宏光のことが大好きだなって思った









そして、マイクを持つ指を見て



一瞬、呼吸が止まるほど








一気に感情が溢れ出したんだ。









「･･････宏光。」









付き合って1年の記念日に


宏光がプレゼントしてくれたペアリング



いつもはプライベートの時しか付けてなかったのに
はっきりと写った右手の薬指につけてある指輪は



間違いなく、今私がつけている指輪と同じもので









心の底からごめんねって伝えたくて



だけど本当は･･･私だって･･･







その先の言葉を思えば



また涙が止まらなくなるから









そっと心の内に秘めておく。

６：家庭の味。→←４：傍にいない日々。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す