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あれから月日が経ち
何百回目の満月
縁側に座りすっかり白くなった髪を手で梳く
「リュウセイ元気?私は今日も元気だよ。
今日孫に会いに行ったの。
あの人にも見せたかったなぁ
もう会ってから何十年も経つね。
また会いたいな…なんて言ったら叶えてくれる?」
空を横切る流れ星
「どうしよっかなー」
「…嘘」
ずっと会いたかった彼がそこにいる
「リュウセイ…」
「久しぶり、A。遅くなってごめんな?」
私を気遣う言葉が嬉しくて嬉しくて
涙がはらりとこぼれ落ちる
「泣くなやー笑」
頬を指で拭われた
「…待ってた。ずーっと」
そんな私の言葉をうんうん、と聞いてくれて。
「頑張っとるしご褒美やるわー何がええ?って言われて
ここ来たいですって特別に許可もらってん。
河川敷寄ってから来るか迷ってんけど
1番にAに会いたかってこっち来た」
「変わってないみたいでよかった。
ごめんね?私はこんな姿になっちゃったけど」
何億歳のリュウセイはあの時から全く見た目は変わらず
少し髪が伸びたくらい
一方私は背が縮み肌もハリがなくなり、髪は真っ白
恥ずかしい、なんてまだ残っていた乙女心が疼くけど
リュウセイは首をかしげる
「んーん?何も変わってへん。相変わらず美人さんやね、Aは」
「…まさかこんな歳になってもキュンとさせてもらえるなんて」
「歳なんて関係あらへんよ、きゅんに。
あ、こんなこと言うたら怒られてまう」
「大丈夫、旦那さん優しいから。
残りの人生幸せに生きてって言い残して行っちゃった」
「ええ旦那さんやな」
「もうお空にいるけど」
「だからお空と天国は別やって笑」
「ふふっ笑 でもそれって悲しいね」
「なんで?」
「もし一緒だったら私が死んだら会えるのに」
「…急にそない可愛いこと言わんといて?俺もきゅんとした」
片口角を上げたリュウセイは私を抱き寄せた
腰に回る腕は、目の前にある胸元は
ガッチリしていて、温かくて。
匂いや感触や彼の息遣いは
心のポケットにしまっていたあの3日間の想い出を
いとも簡単に引っ張り出した
「おかえり、リュウセイ」
「ただいま、A。
こっから見える月、やっぱ綺麗やな」
「でしょ?死んでもいいわ、とか今言ったらシャレにならないね笑」
「…今日はおやすみとか言わへんからな?」
黄金色の朝日が私たちを照らし
リュウセイが消えてしまうまで
私たちはずっとお互いの腕の中で、お互いの存在を確かめ合った
-第6夜 Fin-
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てでぃー(プロフ) - たぴおかさん» 初めまして!とにかくやばさがひしひしと伝わってくるご感想ありがとうございます!笑 ツインのお話は結構力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです。こちらこそ読んでくださりありがとうございます! (2019年2月6日 23時) (レス) id: ebc728ddf8 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか(プロフ) - やばいです!とにかくやばいです!流星と望のお話は涙が溢れまくりました、、。そのほかにも全て良かったです。ステキなお話をありがとうございました! (2019年2月5日 20時) (レス) id: 9e71755966 (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - 零月さん» めちゃめちゃ今更コメントに気づいたのですがお返ししてもいいですか...?ありがとうございます!みなさんの想像力を掻き立てられるように頑張ったので嬉しいです!キュンキュンさせるのは得意ではありませんがこれからも頑張らせていただきます。本当にすいません! (2018年12月24日 17時) (レス) id: ebc728ddf8 (このIDを非表示/違反報告)
零月(プロフ) - 課題に追われてさぁ寝ようと思ったけど寝れなくてこのストーリーの自担の話読んだ私が馬鹿だった。内容可愛いし神ちゃんかっこいいし可愛いし。私の語彙力じゃ足りない。寝れない。てでぃーさんのお話大好きです。これからも沢山キュンキュンさせて下さい。切実 (2018年7月31日 1時) (レス) id: 86a7555269 (このIDを非表示/違反報告)
いのありひか(プロフ) - てでぃーさん» ありがとうございます!てでぃーさん大好きです!(突然の告白←)これからも応援してます! (2018年6月28日 13時) (レス) id: 8233a3c99c (このIDを非表示/違反報告)
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