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花子くんと出会って数日が経った。いや、もしかしたら何週間も経っているのかもしれない。幽霊になってからというもの、眠くなることもお腹が減ることもないため、時間の感覚がすっかりなくなってしまっていた。
あれから、私は花子くんのいる女子トイレに入り浸っていた。花子くんはたまに用事があるからとトイレを出て行く。私はその時だけ広い学園の中を探索したり、学園の外に出て散歩したりしていた。
最初は一生懸命私の未練がなんなのか探っていたが、手がかりすら掴めず、半ば諦め状態だった。最近はのんびりとお喋りをするのが日常になってきている。
「そういえば、花子くんって」
私は顎に手を添えて、ふよふよと浮く花子くんの足元をじっと見つめる。微妙なところで言葉を切った私に、花子くんは頭にハテナを浮かべた。
「? なにさ」
私はさらに沈黙する。花子くんはどうせまた変なことを言い出すか足首見てるんだろうと思っているのが丸わかりな顔をしていた。
私は口を開く。
「花子くんって、浮きますよね」
花子くんは眉間にシワを寄せた。彼が言いたいことは分かる。『あれだけ溜めておいてそんなこと?』である。まぁ、私も溜めたい年頃なの。
「そりゃあ、ユーレイだからね」
「それって私も浮けるってこと?」
「まぁ、うん」
「私も浮きたいです」
「浮いたらいいじゃん」
「どうやって浮くの?」
「どうやってって言われても……」
「浮きたい! ふん! うおぉぉ……!」
頑張って跳んだり力んだりしてみたが、私の体は浮かなかった。
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シズ - 見ながら爆笑してしまいました(笑) 続き楽しみです (2022年8月22日 2時) (レス) @page46 id: 7fbee373af (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - ニコさん» そう言って頂けて嬉しいです! 分かります! 土籠先生攻めいいですよね…ネタがあればまた書こうかなと思います! (2020年3月3日 7時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 好きです!個人的には土籠先生攻めも結構好きです (2020年3月3日 2時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 腐った人間さん» 自給自足の為に生み出したものなので、他の同士にも供給出来て嬉しいです! 正直この作品はノリだけが命なので、そう言って頂けて良かったです! 拙いですが、これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2020年3月1日 16時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
腐った人間 - あ、好きですショタの供給ありがとうごさいます最高です()ノリがよくてすごく読みやすいです!これからも頑張ってください! (2020年3月1日 15時) (レス) id: a770919e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:被苦人 | 作成日時:2020年2月10日 10時